「新型コロナウイルス感染拡大による、
暮らしや心の変化と旅行に関する意識調査(2021 年10 月実施)」
~緊急事態宣言全面解除直後の気持ちと7 月調査からの変化~

2021/10/29

株式会社JTB

 



 
(生活全般)

外出・旅行への意識は、緊急事態宣言解除後も不安や慎重な気持ちは大きく変わらない

・「ワクチン接種が完了しても、しばらく会食・外出・旅行は控えたい(27.9%)」は微増
・「今後1年間に国内旅行を予定・検討している人」は35.8%、前回から1.3P増加にとどまる
・女性20代(49.7%)は全体で最も意欲が高く前回から4.6P増加。女性全体の意欲が改善

(今後1年以内の旅行予定者の意識)

外出や移動がしやすい雰囲気になったと感じる一方で、ワクチン接種率が上っても移動に不安

・年内の旅行予定者は全体で56%。男女50代・60歳以上は6割以上だが予約購入は他より遅い
・関東圏居住者の旅先は域内が前回より増加、遠方は伸び悩む。他地域から関東圏への意向は高まる
・首都圏(一都三県)の居住者は地方部への旅行や感染防止に慎重になっている姿が浮き彫りに

(飲食店や宿泊施設の選択に際して気にする感染防止対策)

・飲食店への要望は全体で高く、「座席数を減らすなど、他の客との距離が十分とられている」40.1
・宿泊施設に求める感染対策は、1年前より高まる。特に食事の対応(個室、部屋食)が伸びる



 株式会社JTB総合研究所(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 野澤肇)は、「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行に関する意識調査(2021年10月)」の調査結果をまとめました。

 当社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19/以下新型コロナ)の世界的流行が始まった2020年2月から定点で意識調査を実施し、感染拡大や緊急事態宣言などの対応に揺れ動く人々の心の動きや行動、そして旅行消費について追ってきました。本調査は前回の7月以来3カ月ぶり10回目となり、緊急事態宣言解除直後に実施しました。

 前回から今回調査までの動きとしては、国内でワクチン接種が進む一方で、デルタ株の感染が急拡大し、8月中旬には1日約2万5千人が新規感染する事態になりました。多数の都道府県に緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が発出される中、東京2020オリンピック・パラリンピック大会が1年遅れて開催されました。現在、新規感染者数は今年最低の水準にまで減少し、9月末で緊急事態宣言などは全面解除になりました。不要不急の外出や移動の自粛が緩和されていますが、イギリスやロシアで感染者数が大幅に増加していることもあり、国内も第6波による感染拡大の懸念は拭えない状況です。

 当社は変化の著しい現代社会における生活者の価値観や行動、旅行に関する調査研究を多様な視点で継続的に行っています。

【調査概要】
調査手法:インターネット調査会社が保有しているパネルに対して、インターネットでの予備調査を実施、対象者を抽出後に本調査を実施

【調査結果】
<予備調査から市場全体をみる>

 最初に予備調査(全国20歳以上の男女対象)で生活者全般の意識や旅行意向について俯瞰しました。参考までに、コロナ禍前までは1年間で国内旅行(一泊以上の旅行で、帰省を含み出張を除く)に出掛けた割合は概ね6割程度、コロナ禍の2020年は約4割にとどまると試算しています。


1. 今後約1年間(22年9月まで)の国内旅行の実施意向は35.8%、前回調査から1.3P増加。女性が増加

 国内旅行の意向が高いのは男女20代(44.9%、49.7%)、男性30代(37.6%)、男性60歳以上と続く
 海外旅行は渡航制限が長引き、「今後はしないと思う」が男女60歳以上で増加傾向に

 市場全体の把握のため、今後およそ1年以内の旅行実施意向について聞きました。全体では35.8%の人が予定・検討している結果となり、前回の34.5%より1.3ポイント増加しました。今回は長期かつ広域に渡る緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が解除された直後の調査でしたが、旅行意向が大きく上がったとはいい難く、「わからない(40.9%)」は2.7ポイント増加と、気持ちがすぐ旅行には向いていないと考えられます。性年代別で意向が高かったのは、男女20代(男性44.9%、女性49.7%)、男性30代(同37.6%)、男性60歳以上(37.2%)でした。

 今回の調査は、前回から全体で1.3ポイントの増加に留まりましたが、過去の調査で低めだった女性の意向が総じて上昇したことが特徴といえます。女性20代(49.7%)の意向が前回より4.6ポイント上がり、男性20代より高くなりました。女性40代・50代の意向自体は同年代男性より低いものの、前回よりそれぞれ2.7ポイント、3.0ポイントと男性より高い伸び率となりました(図1,2)。

 海外旅行に関しては、全体では今後1年以内に予定・検討している人は10.3%、1年以上先と考えている人は6.1%でした。1年以内に予定・検討している人の割合は男性の方が女性より高い傾向にあり、性年代別でみると、男性20代が23.5%と最も高く、女性20代(20.4%)、男性30代(17.4%)と続きました。「以前はこの旅行をしていたが、今後はしないと思う」に着目すると、男女60歳以上(男性11.5%、女性14.1%)が高く、前回調査から男性0.2ポイント、女性1.3ポイント増加しました。コロナ禍が想定以上に長引き、海外旅行を自由に行うことが制限され、シニア層が海外旅行から卒業する傾向は続いているといえます(図3)。

(図1)今後予定・検討している国内旅行の時期(性年代別)(単数回答)


(図2)今後1 年以内に国内旅行を予定・検討している割合(21 年7 月・10 月調査比較)(単数回答)

(図3)今後予定・検討している海外旅行の時期(性年代別) (単数回答)

2.生活者の景況感は、「家計に余裕がない」が39.9%と高維持の一方、「趣味や旅行など、必要性の低い消費をする機会を減らしている(16.0%)」は減少が続く。「普段の生活は切り詰めるが、趣味や旅行など好きなことにはお金を惜しまない(9.7%)」は上昇傾向と、好きなことに関する消費意欲がやや増加

 政府による2021年9月の月例経済報告では「持ち直しの動きが続いているものの、このところそのテンポが弱まっている」とあり、4カ月ぶりに総括判断が下方修正されました。デルタ株の感染症拡大の影響により個人消費が弱く、サービス消費が落ち込み、半導体不足やサプライチェーン支障による生産活動に影響を及ぼしているとし、今後の警戒感が強まっています。

 本アンケートで景況感について聞いたところ「家計に余裕はない(39.9%)」は前回調査から0.7ポイント増で、2021年1月調査を底に上昇傾向です。その一方で、「将来のことは分からないので今の生活を楽しみたいと思う(19.5%)」はほとんど変化がなく、「趣味や旅行など、必要性の低い消費をする機会を減らしている(16.0%)」は前回から0.7ポイント減と、2020年5月以降、減少が続いています。また「普段の生活は切り詰めるが、趣味や旅行など自分の好きなお金を惜しまない(9.7%)」は前回から0.2ポイント増で、家計は厳しいながらも、好きなことに関する消費意欲は若干持ち直していることがうかがえます(図4)。

(図4)景況感について (複数回答)

3.日常生活や外出・旅行に対する考え方は、緊急事態宣言解除後でも大きな変化はなく、慎重な姿勢は続く
「ワクチン接種が完了しても、しばらく会食や外出・旅行は控えたい/控えている」27.9%(前回+0.5P)
「GoToトラベルキャンペーンが再開したら旅行をしたい」16.3%、「あってもなくても旅行したい」12.9%
女性の不安な気持ちが前回調査からやや改善、旅行実施意向の向上につながったと考えられる

 生活や消費に対する意識について7月調査と同内容で聞いたところ、緊急事態宣言の解除という生活上の大きな変化があったにも関わらず、考え方に大きな変化はあまり見られませんでした。「ワクチンの接種が完了しても、しばらく会食や外出・旅行は控えたい/控えている(27.9%)」は前回調査から0.5ポイントと微増し、「ワクチン接種が完了次第、積極的に会食や外出、旅行をしたい/している(6.2%)」はむしろ前回から2.4ポイント減少しました。ワクチン接種が進んだにも関わらず、会食、外出、旅行に依然慎重な姿が垣間見られます。ただし、「今は旅行先で歓迎されるのか不安なので、国内旅行を控えている/控えるようになった(15.0%)」は前回調査から2ポイント減少、「日々情報が錯そうし判断できないので、国内旅行は控えている/控えるようになった(14.3%)」は1.7ポイント下がったことから、周囲を気にしながら旅行に行きやすいタイミングを見計らっていたことがうかがえます。

 「GoToトラベルや旅行費用の割引キャンペーン」については、「再開されたら、旅行をしたい」は16.3%、「あってもなくても旅行に行きたい・旅行をする」は12.9%でした(図5)。一方、1年以内に旅行意欲のある人だけでみると、「GoToトラベルや旅行費用の割引キャンペーンが再開されたら、旅行をしたい」が29.8%、「あってもなくても旅行をする」は26.9%でした(図は省略)。

 1章で、1年以内の旅行実施意向は男性が高いものの、伸率は先回調査と比べて女性の方が高かったと述べました。男女別に考え方をみてみると、女性の方が外出や移動に慎重な傾向であるものの、「今は旅行先で歓迎されるのか不安なので、国内旅行を控えている/控えるようになった(全体15.0%、男性13.5%、女性16.1%)」は前回調査から男性1.6ポイント減少、女性2.4ポイント減少、「帰省先での偏見が不安なので、帰省を控えている/控えるようになった(同10.3%、同8.5%、同11.8%)」は男性0.6ポイント減少、女性1.4ポイント減少と、女性の気持ちは男性より改善された結果となり、女性の旅行意向の向上につながったと考えられます(図は省略)。


(図5)生活や消費に対する意識 (複数回答)

4.旅行者を受け入れる住民としての意識も寛容になっている傾向が見られる
「自分が住んでいない大都市圏からのワクチン接種済み旅行者」の場合、50.4%が来て欲しい(4.6P増)
「海外からの旅行者でワクチン接種済みで証明書を保持」の場合、39.7%が来てほしい(3.8P増)

 自分が住んでいる地域に旅行者が来訪することに対する意識を聞きました。これまで外から訪問者が来ることに対して否定的な意識が多くを占めていましたが、今回の調査では、寛容になる傾向が見られました。「歓迎したい」と「来てほしいが、不安はある」の合算値を「来てほしい」とすると、自分の住む域内から離れるほど、さらに大都市圏や海外からの旅行者には「来てほしい」の割合が低くなりますが、全体的に7月調査からは5ポイント前後の改善が見られました(図6)。


(図6)旅行者を受け入れることについて(単数回答)

<本調査から具体的な旅行意向を知る>
以下の本調査では、今後約1年以内(22年9月まで)に国内旅行をする予定・検討の人を対象に、どんな旅行をしたいか具体的に聞きました。


5.1年以内に旅行意向のある人のうち、2021年中に旅行をしたい人は56.0%で、男女50代以上は6割超
緊急事態宣言の解除を受けて「新たに旅行の予約・購入をした」は30.9%、「具体的に検討を始めた」39.3%
新規予約や購入のアクションが早かったのは、男性20代(48.0%)・30代(57.0%)

 現在予定・検討している国内旅行の実施時期については、2021年中(10~12月)の実施が全体で56.0%、2022年1~3月が23.5%でした。性年代別では2021年中(10~12月)に出かけたいと考えている人は、男女50代、60歳以上が高く、6割を超える一方で、男女20代(男女とも49.0%)、男性40代(44.6%)、女性30代(42.4%)は4割台と低い傾向でした。上の年代は秋のベストシーズンに旅行したいと思う人が多いと同時に、感染者が再び拡大する前に行きたい気持ちが強いと考えられます。若い年代は学校、仕事や子育てなどでスケジュールが立てにくいことも考えられ、学生は春休みの1~3月の方が旅行しやすく、また過去の調査から上の年代より感染状況を気にする人が少ないことが考えられます(図7)。

 緊急事態宣言の解除を受けて、旅行について新たにアクションを起こしたか聞いたところ、「新たに旅行の予約・購入をした」は30.9%、「具体的に検討を始めた」39.3%、「特に何もしていない」は29.8%でした。しかしながら新規予約や購入のアクションが早かったのは、男性20代(48.0%)・30代(57.0%)で、「特に何もしていない」は15.0%、13.0%と少ない結果でした。一方、男性50代・60歳以上は4割以上が「特に何もしていない」と新規予約や購入のアクションでは若い年代と大きな差が付きました(図8)。

(図7)今後1 年間に予定・検討している国内旅行の出発時期 (単数回答)


(図8)緊急事態宣言解除を受けて、旅行について新たにとったアクション (単数回答)


6.行きたい地域は、「関東(25.2%)」が最も高く、前回調査から4.3P増と伸率も最も高かった

関東圏居住者の行き先は域内が前回から増加、遠方は伸び悩む。他地域から関東圏への旅行意向は高まる
想定同行者は「夫婦」「自分ひとり」が減少、「三世代」、「その他の家族」と「身近な誰かと一緒」が増加

 行きたい地域に関しては、「関東(25.2%)」が最も高く、前回調査から4.3ポイントと伸率が最も高く、「中部(16.4%)」、「関西(14.2%)」と続きました。関西は前回調査から減少しました(7月15.5%⇒10月14.2%)。居住地別ではどこも域内の行き先が最も多い結果ですが、大都市圏のうち関東地方居住者だけが同一域内が前回調査から6ポイント増加し、38.5%でした。関東地方居住者は大都市がある「中部(7月10.6%⇒10月13.5%)」、「関西(7月8.5%⇒10月9.0%)」への旅行は前回調査から増加したものの、北海道、沖縄などの遠方は前回調査から減少しました(図9)。

 想定する同行者は、最も高いのが「夫婦のみ(22.1%)」でしたが、前回からは3.9ポイント減少しました。また「自分ひとりで(13.8%)」も減少しました。代わりに増加したのが、「三世代(8.9%、+2.1P)」、「その他の形態の家族旅行(8.4%、+1.3P)」、「家族と友人・知人(9.1%、+1.1P)」でした。コロナ禍で一緒に旅行できなかった”身近な”誰かと一緒の旅行を望む様子がうかがえます(図10)。

(図9)今後1年間に予定・検討している国内旅行の行き先(単数回答)

(図10)予定・検討している国内旅行の同行者 (単数回答)


7.緊急事態宣言解除を受けての外出や移動に対する考え方は、旅行予定者でも慎重。「外出や旅行がしやすい雰囲気になったと感じる(33.3%)」、「ワクチン接種率が上っても移動や外出に対する不安はある(31.1%)」居住地域によって考え方に差が見られ、首都圏(一都三県)居住の旅行者は他地域より慎重な一面もある

 2021年はGWや夏休みを含むほとんどの期間、多くの地域で緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が発出され、9月でようやく全面解除になりました。解除を受けてこれまで自粛を要請されていた外出、旅行についてどんな考えを抱いているのか聞きました。全体では「宣言解除前よりも、外出や移動がしやすい雰囲気になったと感じる(33.3%)」が最も高く、「宣言解除前よりも、前向きに外出や移動をしようと思う(24.6%)」、「地方部への旅行・帰省をする/しやすくなった(24.4%)」と積極的な意識がみられました。しかしながら、「ワクチンの接種率が上っても移動や外出に対する不安はある(31.1%)」、「都市部への移動はまだしばらくは控える(21.0%)」、「緊急事態宣言は解除されたが、宣言解除前と同じように移動は控えた方がいいと思う(19.5%)」と消極的、慎重な意識も根強いことが分かりました(図11)。

 消極的、慎重な傾向は女性や上の年代ほど高い傾向が見られましたが(図は省略)、住んでいる地域によっても違いが見られました。表1は特徴が見られたものを「首都圏(一都三県)」、「大阪・京都・滋賀・兵庫」、「それ以外」で分けてみたものです。全体で最も高かった「宣言解除前よりも、外出や移動がしやすい雰囲気になったと感じる(全体33.3%)」は首都圏の居住者が最も高く、35.9%ありました。一方「ワクチン接種率が上っても移動や外出に対する不安はある(全体31.1%)」は首都圏の居住者は32.9%と、不安も最も高いことが分かりました。また首都圏の居住者は「地方部への旅行・帰省をする/しやすくなった(全体24.4%、首都圏27.0%)」をはじめ旅行に対して前向きな意向が高い反面、「緊急事態宣言は解除されたが、宣言解除前と同じように移動は控えた方がいいと思う(全体19.5%、首都圏21.8%)」、「感染防止対策がしっかりしていそうなので、価格帯が高い宿泊施設や飲食店を選びたい(全体13.3%、首都圏15.8%)」、「県外客お断りなどの扱いを受けそうで、まだ地方部への移動は不安だ(全体11.7%、首都圏14.1%)」が他の地域より高く、感染防止意識や旅行や帰省先での県外者としての扱いを他地域の人より気にしている様子がうかがえます。

 地方部を中心としたその他の地域の居住者は、「都市部への移動はまだしばらく控える」が28.0%、「都市部への旅行・帰省をする/しやすくなった」は16.1%と10ポイント以上の差がつき、依然都市部への旅行には抵抗がある人が多いことが分かります。一方で「感染者数のリバウンドが心配なので、今のうちに外出や旅行をしたい(全体17.6%、その他地域19.8%)」が他より高い結果となりました(表1)。

(図11)緊急事態宣言解除後の外出や移動に対する考え方(複数回答)


(表1)緊急事態宣言解除後の外出や移動に対する考え方(一部抜粋・居住地別) (複数回答)


8.宿泊施設の感染防止対策を望む姿勢は1年前に比べより強くなっている。「個室で食事」「部屋食」が増加

 国内の宿泊施設を選ぶ際に重視するようになったことを同じ内容で20年9月以降1年ぶりに聞きました。その結果ほぼすべての項目で、現在の方がより強い感染防止対策を望む結果となりました。特筆すべき点は図12の通りです。

施設の感染対策:「消毒やマスク着用などの衛生管理が徹底されていること(37.1%)」は昨年9月の調査より下がったものの衛生管理全体とも捉えることができ、他の具体的な対策はいずれも伸びていることから、感染対策が前提になったといえます。

食事:「個室で食事ができること(今回調査26.0%、+5.5ポイント)」、「部屋食で食事ができること(同25.6%、+5.5ポイント)」は昨年9月の調査より大きく上昇しました。

その他:「感染症などによるキャンセルの場合、キャンセル料がかからないこと(24.7%)」は前回調査から7.3ポイント増加と最も伸び率の高かった項目です。

(図12)国内の宿泊施設を選ぶ際により重視するようになったこと(複数回答)


9.外食の店の選択に際して気にする感染防止対策は、

 「座席数を減らすなど、他の客との距離が十分とられている」40.1%、
 「店員の感染防止対策への意識が高い(マスクの正しい活用、店員同士の会話を控えるなど)」37.2%

 最後に今回初めて、外食の際に店の選択で気にする感染防止対策について聞きました。全体として、宿泊施設以上に感染防止のニーズが高いことが分かりました。上位からあげると、「座席数を減らすなど、他の客との距離が十分とられていること(40.1%)」、「店員の感染防止対策への意識が高い(マスクの正しい着用、店員同士の会話を控えているなど)(37.2%)」、「混雑していないエリアにある(35.2%)」、「アクリル板が設置されている(33.9%)」、「会話時の声の大きさやマスクの着用など、客に感染防止への協力を求めている(31.8%)」、「個室を利用できる(31.2%)」。利用者は、立地などは別として、店員の対応などソフト面でも感染防止に取り組む姿勢を求めていることが分かります(図13)。

(図13)外食の店を選ぶ際に気にする感染防止対策(複数回答)


10.まとめ

 2021年は、これまでほとんどの期間を新型コロナによる緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の中で過ごしてきました。ようやく全面解除になり、ワクチン接種率も向上したので、今回の調査結果は感染急拡大の中実施した7月調査と比べ、旅行意欲は大きく改善すると予測していました。しかしながら、1年以内の国内旅行意向は35.8%と、前回から1.3ポイント増に留まりました。新型コロナの影響がない時は予備調査対象者の概ね6割が1年間に国内旅行をしたと試算すると、宣言解除で外出や移動がしやすい雰囲気になったとはいえ、長い感染症禍で根付いた不安や慎重な気持ちはすぐには払拭されないことがうかがえます。最後にこれまでの調査も踏まえ、2つの点について触れたいと思います。

 首都圏(一都三県)に住む旅行者の意識:今後1年以内の国内旅行意向者が考えている旅行先を見ると、多くの地域で居住地域内の旅行は減少傾向でした。しかし関東地方の居住者については、域内が前回から6ポイント上昇するとともに、中部、関西地方への旅行は上昇、他の地方部への旅行は減少していました。緊急事態宣言の解除を受けての意識を「首都圏(一都三県)」、「大阪・京都・滋賀・兵庫」、「その他の地域」別にみると、首都圏に住む旅行者は他の地域に比べ、総じて不安や慎重な気持ちが高い傾向が出ました。特に「“県外客お断り”などの扱いを受けそうで地方部への移動は不安だ」は他の項目と比べ地域差がありました。実際コロナ禍の旅行は、位置情報や検索データをみると、関東周辺の温泉街など歩ける場所があり、一般市民との接点が少ない有名観光地が好まれていました。また宿泊施設を選ぶ際に重要視することで「宿泊施設のある街や地域から旅行者に対して歓迎の意思があること」も過去の調査から増加し、旅行先の対応を気にする傾向は上昇しています。首都圏は最大のマーケットであり、「感染防止対策がしっかりしていそうなので、価格帯の高い宿泊施設や飲食店を選びたい」と考えている割合も高く、個人の消費にも期待ができます。感染症禍とはいえ、感染地域に住むからとお断りされた側に根付いた不安な気持ちを溶かし、行かない時でも互いが共感できる地域になるという姿勢は、地域の将来像を考える上でも重要と考えられます。

感染防止対策:宿泊施設や飲食店の選択の際に注目する感染防止対策は、他の見知らぬ客との接点を避けたい気持ちが共通点といえそうです。特に食事や浴場などマスクを外さざるを得ない状況での対策は徹底した配慮が必要です。一方、宿泊施設にも飲食店にも、「利用者に対しても、施設が定めた感染対策の徹底を求める」、「会話時の声の大きさやマスクの着用など、客に感染防止への協力を求めている」はハード面の感染対策と同様に利用者は重要視していることが分かりました。サービス業としては代金を支払うお客様に注意しづらいでしょうが、周囲は気にしていること、その対応が最終的にはよい顧客を呼ぶ、ブランディングの一環と捉えることが重要と考えられます。このような取組については、ホームページでの可視化も必要です。

<お問い合わせ先>
(株)JTB総合研究所企画調査部
03-6260-1211
contact@tourism.jp
<調査分析および執筆>
岡野千帆、波潟郁代
www.tourism.jp
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