<ウィズコロナ時代のモチベーション調査>
コロナ禍で勤め先の業績悪化5割、給与面の悪化3割
「仕事の大切さに気づいた」でも「どうすることもできない」カギは会社への誇り、ビジョンの実現

2020/10/15

株式会社JTB

【調査結果のポイント】
1. コロナ禍以前と比べ、勤め先の会社の業績は「悪い」「大変悪い」47.3%、給与「悪い」「大変悪い」29.4%
2. コロナ禍以前よりやる気が上がった人は21.9%、東日本大震災後の調査より16.6%減
3. 「仕事が出来ることの大切さに気づいた」、しかし「どうすることもできない」
4. 「がんばろう」のカギは、「会社への誇り」、「ビジョン実現」
5. 会社の対応への評価、5人に2人は良い評価、5人に1人は悪い評価「会社の冷たさが身に染みた」人も

【まとめと提言】
● モチベーション対策は急務
● 無力感から出発し、会社への誇り、ビジョンの実現へ
● コロナ禍対応は、一貫し、すばやく、リーダーシップ持って

 

JTBグループで様々なコミュニケーションサービスを提供する株式会社JTBコミュニケーションデザイン(以下JTBコミュニケーションデザイン)は、「ウィズコロナ時代のモチベーション調査」の報告書をまとめました。

本調査では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、経済環境や労働環境が大きく変化する中、働く人のモチベーションはどのような状況にあるのかを調べました。全国の企業で働く人620人を対象に、仕事や会社に対する気持ちを詳しく尋ね、またそれらの結果を、日本社会に大きな影響を与えた災害として共通点のある東日本大震災の後に行った調査結果と比較しました。回答者が、葛藤を抱えながら働く様子や、会社への誇りがモチベーションを支えている状況が明らかになりました。

 

 ■本調査:「ウィズコロナ時代のモチベーション調査」調査概要
調査方法:インターネットリサーチ
調査地域:全国
調査対象者:全国在住の、18~65歳、企業に勤める男女
有効回答者数:620サンプル
実施期間:2020年8月14~15日

■比較対象調査:「東日本大震災後のモチベーションに関する調査」調査概要
調査方法:インターネットリサーチ
調査地域:全国
調査対象者:全国在住の、18~65歳、企業に勤める男女
有効回答者数:1034サンプル
実施期間:2011年5月13~16日

<主な調査結果>

【1】コロナ禍以前と比べ、所属する会社の業績は「悪い」「大変悪い」47.3%、給与「悪い」「大変悪い」29.4

所属する会社の成績・業績について尋ねました。コロナ禍以前と比べ、「悪い」「大変悪い」と答えた人は、全体の47.3%と半数近くを占めました。自身の給与については、コロナ禍以前と比べて、「悪い」「大変悪い」の回答が29.4%であり、3人に1人の給与が下がっていることがわかりました。

会社の業績の面でも、自身の経済的な面でも、厳しい環境で働いている人が一定数いることがわかります。

【2】「がんばろう」と思う人は68.1%、コロナ禍以前よりやる気が上がった人は21.9

いずれも東日本大震災後の調査より低い結果に

コロナ禍以降の仕事に対する気持ちを尋ねたところ、「『がんばろう』と思う」という回答は全体の68.1%ありましたが、「やる気は、コロナ禍前より上がった」という回答は21.9%に留まりました。

この数値を、今回同様社会に大きな影響をもたらした東日本大震災の後の状況を調べた「東日本大震災後のモチベーションに関する調査」の結果と比較しました。すると、東日本大震災後では、「『がんばろう』と思う」という回答は75.0%、「やる気は、大震災前より上がった」という回答は38.5%あり、今回のコロナ禍以降の数値は、それぞれ東日本大震災後よりも6.9%16.6%低いことがわかりました。(図2)

多くの人に深刻な影響を与え、様々な変化がもたらされた東日本大震災と今回のコロナ禍ですが、仕事へのモチベーションについては、現在のほうがマイナスの影響が大きいと言えます。

 

【3-1】「仕事が出来ることの大切さに気づいた」、しかし「どうすることもできない」

 仕事に対する意識について、さらに詳しく尋ねたところ、「仕事が出来ることの大切さに気づいた」が最も高く、異常事態の中で、あらためて仕事の持つ意味を感じていることがうかがえます。3位以降も、「被害状況を見ると、自分は今の仕事をがんばってやらなければと思う」「コロナ後も現在の仕事を続けたいと思う」というモチベーションの高さを表す回答が続きますが、2番目に多かったのは、「コロナ禍の仕事への影響は、自分の力ではどうすることもできないと感じる」でした。仕事ができることは大切だと思う一方で、その大切な仕事に新型コロナウイルスの猛威が及んでいることへの無力感や絶望感が読み取れます。この2つの気持ちの葛藤は、ウィズコロナ時代のモチベーションを端的に表していると考えられます。

【3-2】広範囲に及ぶ影響、仕事に支障、集中力低下

 東日本大震災後のモチベーションと比較して、違いが大きかった項目を抽出しました。「コロナ禍の、仕事への影響を最小限に食い止めようと、がんばっている」という前向きな項目が、東日本大震災よりも高い数値を示しました。しかし、「コロナ禍以降、集中力が下がっている気がする」「コロナ禍で、少なくとも一度は、仕事へのやる気が低下した」「コロナ禍で、仕事に支障が出て、やる気が下がっている」という、マイナスの影響を表す項目も、東日本大震災後よりも高い数値でした。

コロナ禍による影響が広範囲に及び、多くの人がその影響と必死に戦っており、しかしその過程で、やる気の低下に見舞われたり、集中力が下がったりしていると考えられます。

【4】「がんばろう」のカギは、会社への誇り、ビジョン実現

「『がんばろう』と思う」と回答した人は、「『現在の会社』で働いていることを『誇り』に思う」、「自ら会社のビジョンや理念を実現したいと思う」と回答する傾向があることもわかりました。がんばろうという意欲は、会社への誇りや会社のビジョンを実現したいという気持ちと、関係が深いことがわかります。

 自由記述には、「食品会社に勤めているが、あらためて食べることが人にとってどれだけ重要かを再認識しました。」(男性、32歳、東京都、会社員(事務系))、「事態に応戦だけしていても価値を見いだせないため、長いビジョンで新しい時代を志向し、手を打っていかなければならないと実感した。」(男性、37歳、富山県、会社員(事務系))「会社のビジョンや理念はキレイゴトの様に思っていたが、これからはそういう気持ちを持って悔いなく働くことが大切かと思う。」(男性、32歳、兵庫県、会社員(その他))、等の記述があり、コロナ禍の影響により、会社への誇りやビジョンの重要さを再確認した様子がうかがえました。

 

【5-1】会社の対応への評価、明暗分かれる、5人に2人は良い評価、5人に1人は悪い評価

「会社の冷たさが身に染みた」人も

回答者には、コロナ禍への会社の対応について、総合的に評価してもらいました。「よかった」「まあよかった」を合わせると42.3%の人が、会社の対応を評価していますが、「よくなかった」「あまりよくなかった」という回答も21.9%で、5人に1人がネガティブな評価をしていました。

東日本大震災後の調査データと比較すると、良い評価が減り、悪い評価が増え、評価は全体的に悪化しました。

自由記述回答には、「絶対感染するなと脅しのような通知があった」(女性、49歳、愛知県、事務系)、「社員に対する会社の冷たさが身に染みた。自己を犠牲にして会社に報いるのは、基本やめる事にした。」(男性、58歳、愛媛県)というコメントがありました。働く人が不安を抱える中で、会社から発信される情報に敏感に反応していることがわかります。

【5-2】会社の対応、ポイントは、「すばやく一貫した対応」「トップや管理職のリーダーシップ」

できていない企業2025

会社の対応への総合評価との関係が最も大きかったのは、「会社としての、コロナ禍への対応がすばやく、一貫していた」「経営トップや管理職が、リーダーシップを持って行動していた」「社長など経営トップから従業員へのメッセージが出された」でした。スピード感を持って一貫した対応をし、トップや上司がリーダーシップを発揮し、従業員へのメッセージを発信することが、会社への高い評価につながることが明らかになりました。

 しかし、実際にその対応を、会社が行ったか否かを聞くと、4分の1、あるいは5分の1の回答者が、「行っていない」と答えました。重要な、会社の一貫性や迅速な対応、トップのリーダーシップが実行されていない企業がそれだけあったと考えられます。

<まとめと提言>

モチベーション対策急務、無力感から「誇り」「ビジョンの実現」へ

 

大きな災害に見舞われると、仕事へのモチベーションや会社への意識が変化します。本調査では、コロナ禍における働く人のモチベーションの状況を調べ、また、近年の大きな災害として東日本大震災を取り上げ、その時の状況と現在とを比較しました。調査結果から、今回のコロナ禍におけるモチベーションに特有の傾向が明らかになり、今後取るべき対策の方向が示唆されました。

 

■東日本震災後よりも低下しているモチベーション、対策が急務

このような状況下でもがんばろうと思ったり、以前よりもやる気が上がったと思ったりする人の比率は、東日本大震災よりも低いことがわかりました。「復興」という目指すべき目標があり、その目標に向かっていく一体感があった東日本大震災後に比べて、コロナ禍の今は、目指すべき目標がはっきりせず、無力感に襲われたり、集中力がなくなったりするケースがあると思われます。今後もこのような状況が続くことで、モチベーションがさらに低下する可能性があります。会社として業績を上げ、存続していくためにも、また従業員一人一人の精神的な健康を保つ上でも、対策を講じることは急務です。

 

■無力感から出発する組織

コロナ禍の影響を受けることで、多くの人があらためて、仕事ができることの価値に気づきました。その一方で、「どうすることもできない」という無力感も持ち、やる気の低下を経験している人もいます。

確かに、11人は無力ですが、だからこそ、複数の人が互いの無力をカバーし合い、助け合うことは貴重です。それができるのが、会社という組織体の強みだと言えます。様々な能力や価値観、経験を持つ様々な年代、性別の人が、力を貸し合い、サポートし合って、目指すべき目標に向かう、という会社組織の機能がうまく発揮されれば、無力感から有意義な出発ができるのではないでしょうか。

 

■会社への誇り、ビジョンの実現

がんばろうという気持ちが、会社への誇りやビジョンの実現と関係していることがわかりました。コロナ禍への無力感により虚しさを感じる中で、意義のある仕事をしたいという気持ちの表れと言えます。

会社として社会にどのような貢献をしているのか、何を目指しているのかを、トップメッセージや掲示物で社内に知らせたり、誇りを持って働いている社員のコメントを紹介したり、社員同士で会社のビジョンについて話し合う場を作る等の取り組みは、がんばろうという気持ちを高めることにつながるでしょう。また、従業員が日々の仕事をする中で、顧客からの感謝や、自分たちの仕事の意味の実感を得られたりする場面があることも大切です。

 

■一貫性とスピード感、リーダーシップ

会社が行っているコロナ禍への対応に関して、一貫性、スピード感、そしてリーダーシップが求められていることがわかりました。コロナ禍への基本的な方針の提示と、その方針に沿った個々の施策の迅速な実施が求められています。こうした会社の対応は、上記の会社への誇りやビジョンの実現にも影響を与えると考えられ、一層の重要性を認識した上で、取り組む必要があります。

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