JTB総合研究所アメリカ人旅行者の日本旅行に関する志向調査 その4

2019/03/13

株式会社JTB総合研究所

6.   男女間には、国や人種を超えた好みの違いが存在
男性は食や風景“単体”の画像、女性は“人の様子”が含まれた画像をより好む

画像についての好みの男女差について、検証をしてみます。脳波や注視時間については、あまり顕著な差はみられませんでしたが、主観評価においては、男女間に差がみられました。男性は、女性と比較し、「おにぎり」、「牛肉」、「風景」と いった、何か一つの素材に焦点を絞った画像を好む傾向があります。一方、女性は逆に、品数が多い料理の写真や、朝市で人が買い物をしている風景、川で人々がカヌーを楽しんでいる風景などバラエティに富む画像や人の様子がわかる画像を好んでいました。この結果は、当社が実施した過去の調査の傾向とも一致するものです。国や人種を超えて、男女の間には、画像の好みの違いが存在すると考えられます(図 23)。

 

 

【アメリカ人国内での旅行や消費に関連し 情報接点と購買行動について】*インターネットアンケート調査より分析

 7.    どこかに行きたくなるきっかけは「サーチエンジンでの検索」が最大の情報接点
旅行の情報源では、「旅行情報サイト」や「ポッドキャスト」の役割も大きい

アメリカの人が“どこかに行きたい”と思う、最初のきっかけはどのようなところから訪れるのかをみてみます。最も多かったのは「サーチエンジンでの検索」の51.6%で、次いで「テレビ」の38.5%となりました。ファッションとの比較でみると、旅行のきっかけとしては、「旅行情報サイト」や「ポッドキャスト」の割合も高い傾向がみられます(図 24、25)。

また、行きたい場所や買いたい場所の選択に“影響を与える人”については、「友人知人や情報サイトなどのクチコミ」が最も多く、67.8%で、「インスタグラマーやユーチューバー」が続きます。一般の個人の影響が大きいことがわかります。とはいえ、映画俳優やスポーツ選手なども影響を与える人として上位にあがっています。具体的な名前を書いてもらった結果では、トム・クルーズ、ドナルド・トランプ、ブラッド・ピッド、ピューディ・パイなど、著名な俳優や政治家、ユーチューバーの名前があがりました。今後は、人気のポッドキャスターなども現れるかもしれません(図 24、表 3)。

海外旅行において、消費や体験を後押しする情報は、国内で話題となっているモノやコトなのか、海外で話題となっているモノやコトなのかを聞いた結果を、過去の当社の調査結果と照らし合わせてみると、アメリカ人の傾向としては、モノとコトへの興味は同程度でしたが、自分の国よりも“海外で話題になっている”モノやコトへの興味が強いことがわかりました。国  内より海外の話題を好む面では日本と同様です。アメリカ人が意識している国で話題となり、逆輸入されることで、より関心が高まると考えられます(図 26)。

 

*ポッドキャストとは、音声メディア(音声によるブログとも言われる)の一種で、企業でも個人でもチャンネルを持ち、発信することができます。アメリカでは、スマートスピーカーの普及に伴い音声コンテンツを聞く人が増え、注目されています。

 

 

8.    旅行先での観光・体験・食に関する情報は、“旅行前”に「旅行情報・口コミサイトやアプリ」、「フォローしている企業の情報」や、「旅行先の宿泊施設のサイト」で検索“旅行中”はインターネットだけでなく、「ホテルのコンシェルジュ」、「観光案内所」など人(プロ)に聞く割合も多い

旅行先で、どんなことをするか、詳しいことを調べるタイミングと調べ先について聞いたところ、最も多かったのは、旅行前に「旅行情報、口コミサイトやアプリで調べる(50.0%)」、次いで「フォローしている企業の情報を参考にする(41.4%)」でした。旅行中の情報収集で多かったのは、「ポータルサイトで検索(39.6%)」、「旅行情報・口コミで調べる(33.2%)」でした が、これらとあまり変わらない割合で、「ホテルのコンシェルジュなどに聞く(33.0%)」や「観光案内所で相談する(31.4%)」など、人に聞く割合も多くなりました。性別では、女性は全体的に選択割合が高く、より様々な情報源を活用しています(図28、29)。

 

 

9.   海外旅行の予約先として旅行会社店舗の利用率は OTA を上回り、約 5 割

「旅行会社サイト、SNS(54.9%)」、「旅行会社店舗(電話メール含)(49.0%)」、「OTA(45.1%)」今後の予約にはスマートスピーカーやウェブTVなどの機器も活用したい

実際に海外旅行の予約はどのように行っているのかをみると、全体で最も多かったのは、「旅行会社のサイトやアプリ、SNS(合算)」の 54.9%でした。また、アメリカでは店舗の利用が復活してきていると言われていましたが、それを裏付けるように、電話やメールでの利用も含めると、旅行会社店舗を「よく利用する」と回答した人は、49.0%となり、「OTA の予約サイトやアプリ(46.1%)」を上回っています。今後の利用意向についても、「旅行会社店舗に来店」はそれほど高くありませんが、「旅行会社店舗にメールや電話」で旅行を予約したい割合は比較的高く、旅行会社店舗の利用意向には根強いものがあると考えられます(図 30)。

また海外旅行を予約するにあたって利用するツールと今後利用したいツールを聞いたところ、最も多いのは「パソコン(71.3%)で、「スマートフォン(69.9%)」が僅差で続きました。スマートスピーカーやウェブ TV については、「今後利用したい」割合が現在の利用割合を上回っており、今後さらに利用が拡大しそうです(図 31)。

 

 

【まとめ】

●訪日経験が増えると、より“日本らしい文化や歴史に触れる旅”を志向
今後日本への観光旅行を考えているアメリカ人には、29 歳以下の女性割合が高く、若い女性への対応も重要

訪日経験者は、経験がない人より「日本文化体験をする」、「旅館に宿泊する」、「カジュアルな日本料理を食べる」などへの意向が高く、より日本らしい生活文化を体験したいと考えていることがわかりました。また、これから初めて日本を訪れたいアメリカ人には、29 歳以下の女性の割合が高くなりました。若い世代でも、日本文化に関心を持つ人は多いと考えられます。映像の好みでも男女差がありましたが、時代や世代に応じた好みや志向を反映することは重要と考えられます。

 

●旅行中の情報源としては、ホテルのコンシェルジュや観光案内所などの人(プロ)の役割が大きい

旅行中の情報源としては、インターネットだけでなく、ホテルのコンシェルジュや観光案内所なども同じように利用されていることがわかりました。探すよりも身近にいるプロに聞いた方が手っ取り早く、確実だという意識があるのかもしれません。訪日経験者では、よりその傾向が強くみられました。日本国内における英語での対応は重要と言えそうです。

 

●アメリカ人も含めた欧米の旅行者へは、映像だけでなく、文字や音声を補足して背景やストーリーを伝える工夫も必要

アジア系の対象者は、比較的、意識下と無意識下の評価が一致し、好ましいと思う画像を長く見る傾向もありましたが、欧米系の対象者は、あまり一致が見られませんでした。また、多くのものが映っている画像をより長く見て、画像の持つ意味を解釈しようとしている様子がわかりました。欧米の旅行者に人気のロンリープラネットなどのガイドブックはアジアで好まれるような写真中心のガイドブックに比べ文字が多いことで有名です。また、動画でも、字幕や音声で説明が加えられている場合も少なくありません。古くから活字文化が発達してきた欧米の旅行者には、異文化だからこそ、画像だけではなく、“言葉”で背景やストーリーなどの補足をすることも大切と考えられます。

 

<お問い合わせ>
(株)JTB総合研究所
調査分析担当:早野陽子
広報担当:早野・三ツ橋・波潟
03-6722-0759
www.tourism.jp
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