スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2018)その2

2018/10/25

株式会社JTB総合研究所

【旅行やおでかけの際のスマートフォンの利用】

8. 旅行前にスマホで準備することは、「旅行先の情報」や「予約情報」を同行者と共有すること。「経路検索」も事前に行う。旅行中は「経路検索」と「食事やお茶の場所を探す」。旅行後は、6 割が「写真共有」と、再び「旅行先の情報共有」

では、旅行に際して、スマートフォンをどのように利用しているのでしょうか。旅行前・中・後にスマートフォンですることを聞いたところ、旅行前には、旅行先の情報や予 約情報などの「共有(46.8%)」と共に、「経路 検索(40.9%)」や「現地の見どころ(40.0%)」など下調べの項目が高くなりました。旅行中は、「経路検索(45.2%)」や「食事やお茶の場所を探す(44.8%)」など、現地での行動に関する検索が多いようです。旅行後は「写真の共有(59.3%)」が最も高くなりましたが、「旅行先情報の共有(31.1%)」も高いことがわかりました(図 16)。旅行のおさらいをする行為が、次の旅行への布石となる可能性もありそうです。

 

 

9. AI を利用した旅行関連サービスのよいところは「人より気軽に質問できる」、「自分では思いつかない提案をしてくれる」

最近では、旅館のサイトなどでも、顧客からの問い合わせにAI(人工知能)が答えるサービスが広がっています。また、goo旅行の“AI オシエルなど、旅行者の気分に応じた旅行プランを相談できるサービスや、“Planme”のような、旅程を自動的に作成してくれるサービスも出てきました。そこで、旅行に関するAI サービスの利用や意識について聞きました。旅行に関するAI サービスのうち、最も利用率が高かったのは、「旅館やホテルの問い合わせ(8.3%)」で、性年齢別にみると、男性30代と女性29歳以下で高くなりました。2位以下の「旅行会社への問い合わせ」、「旅行を提案してくれるサービス」、「現地旅行ガイドサービス」については男性 29 歳以下、30 代で高い傾向となりました(図 17)。

また、いずれかのサービスを利用したことがある人(全体の11.4%)に対し、利用してみて感じたことを聞いたところ、最も多かったのは、「人より気軽に質問できる(60.7%)」で、6割以上の利用者が気楽さを感じていました。また、「技術が向上したらもっと使いたい(22.2%)」は「自分にはあまり必要ない(10.3%)」を大幅に上回りました。実際に使ってみると、思うような回答が得られない場合も少なくないも のの、今は情報収集の時期と考えると、今後、技術や学習が進むにつれ、利用が拡大すると予想されます(図 18)。

 

 

 

10. スマートフォンゲーム利用者の 38.8%はゲームに関連した交流や消費を経験
男性 39 歳以下は e スポーツへ高い関心。14.6%はプレイ経験があり、観戦意向は 39.8%

2016 年に爆発的な人気となったポケモン GO は人々の行動パターンを変え、外出のきっかけを作りだしました。ゲームの利用者がある場所に行くと、特典がもらえるといった機能を持つゲームも増えています。そこで、現在、スマートフォンゲームや、eスポーツへの意識や利用を聞きました。スマートフォンゲームをしている人に対し、外出や交流に関して体験したことに関する項目を選んでもらったところ、38.8%はゲームに関連した交流や消費を経験していました。項目の中で最も割合が高かったのは、
「普段の通勤や通学経路からちょっと寄り道した(24.8%)」で、「わざわざ遠くまで出かけた(日帰り)(13.2%) 」、「商業施設に滞在するために、店で商品を購入した(11.9%)」なども 10%を超えました。スマートフォンゲームは、ある程度、お出かけや消費のきっかけとなっていると言えそうです(図 19)。
今年のアジア大会で注目が高まったe スポーツ(*)の体験や観戦意向については、全体でみると、プレイ経験が4.0%、観戦経験(テレビ番組、実況動画、会場での観戦の合算)は、9.4%、今後の観戦意向(合算)は 26.3% でした。性年齢別では、若い男性の関心がより高く、男性 29 歳以下ではプレイ経験が 14.6%、観戦経験(合算)は 26.2%、今後の観戦意向(合算)は、 39.8%となりました。観戦意向の内訳を性年齢別にみると、「会場に出向いて観戦したことがある」は全体では 1.7%でしたが、男性 29 歳以下は8.7%と 7 ポイント高い結果となりました(表 2、図 20)。これまでの当社の調査結果をみると、国際芸術祭やオープンファクトリーなど、大きく広がる前に関心を寄せ、行動を起こすのは、若い男性でした。若い男 性の関心をどのように獲得し、どのように波及させていくのか、その道筋を視野に入れることが大切かもしれません。

 

 

 

 

【新しいテクノロジーによるサービスの利用経験や意向について】

11. スマートスピーカーの認知率は 57.7%で、昨年の 21.2%から 2.7 倍に増える。一方、利用率は伸び悩む。手入力が不要など便利さを感じる一方、音声認識の悪さや対応家電にかかるコスト、行動を監視される感覚などに不満

昨年の秋に相次いでスマートスピーカーが発売され、スマートスピーカーの認知度は 58.0%となり、昨年 9月の調査時点の21.2%から3倍近く上昇しました。一方、利用率は6.9%で、昨年の4.0%から2.9 ポイントの伸びにとどまりました(図 21)。利用している機能として上位だったのは、「天気予報(68.8%)」、「音楽再生(57.1%)」、「ニュースの読み上げ(54.5%)」でした(図22)。一方、利用開始当初と比べて利用頻度が下がった機能としては、「ニュースの読み上げ(19.5%)」、「乗り換え案内(16.9%)」、「飲食店の検索(13.0%)」が比較的多くなりました。

利用して感じたこととしては、「手入力による操作がいらず便利(40.8%)」と感じている一方で、「うまく認識しないなど、思った通りの会話ができず不満(28.2%)」、「対応する家電に買い替えるのにお金がかかる(26.8%)」、「個人情報の漏えいが心配・行動を管理されているようで嫌(21.1%)」といった不満もあることが、伸び悩みにつながっているのかもしれません(図 23)。

その他、AI音声アシスタントサービスで利用率が最も高かったのは、昨年と変わらず「スマートフォンのコンシェルジェ・エージェント機能」で、利用経験は25.7%(昨年より3.6ポイントの増加)でした。チャットボットやロボットアシスタント機能については、昨年とあまり変わらない結果となりました(図 21)。

 

 

 

【“いつも身近にある存在”となった LINE とアマゾンの利用について】

メッセージ・チャットアプリとして圧倒的な利用率を誇るLINEと、日本のEC市場をけん引するアマゾンですが、最近では、様々なサービスや機能を包括するようになり、もはや生活の一部と言えるほど身近な 存在と感じる人も多いと思います。それぞれのサービスは、どのような目的で、どのように利用されているのでしょうか。LINE とアマゾンの利用実態について聞きました。

 

12. LINE の利用はコミュニケーション以外にも広がる。全体の過半数は 3 個以上の LINE 内サービスを利用。利用の理由は「家族や友人で使っている人が多い」、「普段から使っている」、「1つで完結できる」

まずLINEの利用用途で最も多かったのは、もともとの機能である「直接話せない時の連絡(79.9%)」や「複数のメンバーに同時に連絡(49.1%)」でしたが、連絡以外にも「画像や動画を共有(30.3%)」、「音楽を聴く、ニュースやマンガを読む(25.3%)」、「ゲーム(9.7%)」、「ポイントを貯める(7.4%)」など多岐にわたって利用されていました( 図 24)。

LINE内のサービスを何種類利用しているかをみてみると、全体では「3個以上」が過半数を超え、55.9%となり ました。性年齢別では、女性29歳以下の利用個数が最も多く、「3個以上」の割合は78.0%となりました(図25) 。LINE を利用する主な理由としては、「家族や友人で使っている人が多いから(69.4%)」、「普段から使っているから(57.9%)」が上位でした。男女29歳以下では「LINE 一つで様々なサービスが利用できる(完結できる)から」も高くなりました(図 26)。ワンストップで様々なことが完結できる利便性も支持され、利用につながっていると考えられます。

 

 

 

 

13. 72.7%がアマゾンを利用してショッピング。アマゾンプライムの利用は全体で 17.7%、アマゾン利用者の 24.4% 今後アマゾンで売ってほしいものの1位は「旅行(32.0%)」、「現地発着ツアー(11.4%)」

次に、アマゾンはどのように利用されているかをみてみます。全体の72.7%がアマゾンを利用していると回答し、17.7%は有料サービスであるアマゾンプライムを利用していました(図 27)。アマゾンプライムを利用する理由としては、「配送料無料や値引きサービス」、「月額が手ごろ」といった特典や価格についての理由が上位でしたが、それを別とすると、「複数のサービスを利用できるから(42.9%)」、「いつもアマゾンで購入していたから(41.2%)」が高く、LINEが利用されているのと似た理由が上位となりました(図28)。LINEが情報のプラットフォームだとすれば、アマゾンはECのプラットフォームであると言えますが、今後、より多く機能が包括されるようになれば、両者の境目すらなくなってくるのかもしれません。

今後アマゾンで売ってほしいものとしては、「旅行(32.0%)」が最も高く、男性は比較的「株や投資商品」、「車やバイク」も比較的高い傾向がみられました。「現地発着ツアー」と「個人が提供する交流体験」は、どちらも旅行先での体験という意味では同じですが、「現地発着ツアー」は女性の29歳以下、「個人が提供する交流体験」は男性 29 歳以下の割合が高くなり、男女間での違いが明らかとなりました(図 29)。

 

 

 

 

【まとめ】

●情報収集は、他者が情報を選別する“キュレーション”から、自分でふるいをかけて絞り込む”フィルタリング“へ

かつてネットサーフィンの時代は、情報は自分で探しに行くものでした。その後、スマートフォンの普及とともに、情報は自動的に手元に送られてくるものとなる中で、まとめサイトなど、提供者側が重要度に応じて情報を選別す るキュレーションサービスが生まれました。しかし、今年の調査結果をみると、まとめサイトの利用率は減少 し、変わってツイッターの急上昇ワードや友人のリツイートから情報収集をする割合が高まる結果となりました。また、利用するSNで自分の関心のあるテーマやカテゴリーを登録し、自分が興味のある情報だけに絞り込む行動も見られました。情報過多の中で、得たい情報に到達するための知恵とも言えますが、反面、興味のない情報が 目に留まる機会が減少し、限られた情報の中だけで判断・行動する傾向も強まっています。まだ興味を持っていな い分野に関し、どうしたら関心を持ってもらえるかが、消費者との接点を考える上で重要となるのではないでしょうか。

 

●キーワードは“ストレスフリー”

LINEやアマゾンが利用される大きな理由として、家族や友人との共通の手段であることや、1つのサービスで完結できる“簡単さが支持されました。今年の6月にサービスが開始されたLINEトラベルは、まだ限定された商品やサービスにも関わらず、既に 600万人を超える登録者を獲得しています。また、「検索エンジン」は、検索ワードだけではなく、より重要と判断された情報が枠付きで表示されたり、関連する情報が提示されたりなど、一か所で必要な情報が揃うようになったこともあり、利用が伸びています。逆に、スマートフォ ンによる購入で唯一減少傾向にあった「海外ツアー」を購入しない理由として大きかったのは、「色々な情報を入力するのが面倒」でした。

多くの情報やサービス・商品があふれる中で、目的とするものにできるだけ簡単に短時間で、かつ、少 ない手間でたどり着けるストレスフリーは、消費者にとって、より大切な要素となっているのではないでしょ うか。消費者の精神的、物理的な負担を正しく理解し、それを軽減する努力ができるかが、消費者から選ばれるための鍵となりそうです。

 

<お問い合わせ>
(株)JTB総合研究所
調査分析担当:早野陽子
広報担当:早野・三ツ橋・波潟
03-6722-0759
www.tourism.jp
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