スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2018)その1

2018/10/25

株式会社JTB総合研究所

スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2018)

〇「メッセージ・チャットアプリ」の利用が初めて「メール」を上回る

・検索エンジン、動画投稿サイト、画像投稿サイトの利用も伸びる

 

〇スマートフォンでの旅行商品の予約・購入は続伸し 47.3%(2.1 ポイント増)

・「宿泊施設」、「レストラン予約」も伸びるが、「海外ツアー」は減少

 

AI による旅行関連サービスの良さは「気軽さ」と「思いがけない提案」

・AI による旅行関連サービスを利用したことがある人は全体の 11.4%。利用してみて感じたことは「人より気軽に質問できる(60.7%)」、「自分では思いつかないところを提案して

くれる(29.1%)」

 

〇スマートフォンゲーム利用者の 38.8%はゲームに関連した交流や消費を経験

・男性 39 歳以下はe スポーツへ高い関心。14.6%はプレイ経験があり、観戦意向は 39.8

 

〇“日常での接点が多い”、“一つで完結できる”サービスの支持が広がる

・LINE やアマゾンプライムを利用する共通の理由は、家族や友人の間で共通の手段として使える”ことや“同一サービスの中で様々な用途が完結する”こと

 

(株)JTB総合研究所(東京都港区 代表取締役社長 野澤肇)は、「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2018)」を実施しました。本調査は 2013 年から経年で実施し、今年で 6 回目となります。当社は、生活者のライフスタイルや価値観が消費行動や旅行に与える影響に関する調査分析を継続的に行っています。

昨年の調査では、Instagram 人気がけん引する形で、一時減少傾向だった SNS の利用率が再上昇し、「インスタ映え」のための移動や消費を生みました。最近では、スマートスピーカーなどのスマートフォンと連動した電子機器が広がると共に、サイトやアプリ上で AI に相談や問い合わせができるサービスなど、実用化が進みつつあります。このような動きは、私たちのライフスタイルをどのように変えているのでしょうか。

本調査はスマートフォンの利用実態と人びとの意識を継続的に調べることで、今後の生活や旅行行動に関する変化の兆しをとらえようとするものです。

  • 調査概要:(調査方法)インターネットアンケート調査 /(実施期間)2018 年 10 月 11 日~10 月 17 日
  • 調査対象者:(スクリーニング調査)首都圏、名古屋圏、大阪圏に住む 18 歳から 69 歳までの男女 10,000 名

(本調査)スクリーニング調査回答者のうち、プライベートでスマートフォンを利用し、過去1年以内に1回以上の国内旅行(日帰りも含める)をしたことがある 1,030

 

【インターネットやスマートフォンの利用実態について】

1.「メッセージ・チャットアプリ」が初めてメールを上回る。「検索エンジン」、「動画投稿サイト」の利用も大きく増加Instagram がけん引した「画像投稿サイト」も引き続き増加傾向

スマートフォンでよく使う機能として、今年は初めて、「メッセージ・チャットアプリ」が「メール」を上回りました。また、「検索エンジン」、「動画投稿サイト」も大きな伸びをみせました。また昨年、インスタ映えが話題となった「画像投稿サイト」も引き続き増加傾向にあります(図1)。「検索エンジン」については、最近では 検索結果だけでなく、重要と判断された結果が上部に枠付きで表示されたり、関連情報が一緒に表示されたり(例 えば、ホテル名を検索すると、検索結果と共に、空室状況や地図、経路、価格が表示されるなど)、一元的に情報 が得られるようになってきていることが利用の増加につながっているのかもしれません。また、動画投稿サイトに ついても、子供がなりたい職業の上位にユーチューバーがランクインするなど注目されました。動画での発信や視聴がより身近に、日常の一部となってきたのだと考えられます。

 

 

2.ニュースの取得に紙の新聞の定期購読は引き続き減少。インターネットニュースや新聞のデジタル版の伸びも止まるSNS でテーマや人を登録するのは、「関心のある情報のみ取得したい」、「関心のある分野の最新情報が得られる」から

時事関連の情報源については、引き続き「紙の新聞の定期購読」は減少し、インターネットニュースや新聞のデジタル版も微減となりました(図2)。インターネットニュースの情報源として、Yahoo!ニュースのボリュームが大きいことに変化はありませんが、ややその割合は減少しました。また、NAVER まとめや2ちゃんねるまとめ、グノシーなどのキュレーションサイトやアプリは減少傾向となり、変わってLINE ニュースやツイッターの急上昇ワードなどが増加しています(図3)。

次に、SNSによる情報収集における、テーマやカテゴリー、人などのフォローや登録状況を聞いたところ、全体では、55.9%が何らかの登録をしていました。特に女性29歳以下は際立って高く、約9割に上りました(図 4)。登録の理由は、「自分の関心のある情報のみ取得したいから(50.2%)」、「関心のある分野について最新の情報が得られるから(41.5%)が上位となりました。性年齢別では、全体で3位の「たくさんある情報の中から自分の知りたい情報を探すのが面倒だから」は男性 29 歳以下と30代、女性29歳以下で高い傾向でした。若い世代においては、身の回りに情報があふれる中で、幅広い情報より、できる だけ自分が関心を持つ情報だけを取り込みたいという意識がより強いようです(図5)。

 

 

 

 

3.「SNS の投稿を見て行ってみたいと思った場所に行った」割合は年々増加し、20%を超える実際に行ってみて満足だったのは“SNS でみたことを体験できた”こと。不満は“混雑”やSNS で見たものと現実との違い

“インスタ映えと共にインスタ萎えといった言葉も聞かれるようになりましたが、SNSの利用で体験し たこととして、一時落ち着きを見せていたSNS疲れが、全体的に増加傾向となり、「SNSは見るだけで投稿はしなくなってきた」は36.9%となり、昨年から5.4ポイント上昇しました。一方、「SNSで知った情報でいいと思ったものを購入した」、「SNS の投稿で行ってみたいと思った場所に行った」は3年連続で増加し、おでかけや消費のきっかけとしての役割も強まっています(図 6)。

SNSの投稿をきっかけとしたお出かけに関し、満足だったことや不満だったことを聞いたところ、満足したことについては、「その場の雰囲気や風、においなどを体験できた(55.6%)」、「SNSで見たものを実際に体験できた(54.7%)」など、SNSでの情報を実際に確認できたことが満足につながっているようです。一方、不満だったことには、「想像していたより混んでいた・並んだ(24.8%)」や「想像していたほど美味しくなかった(20.1%)」など、投稿内容だけでは得にくい現実とのギャップがあがりました。しかし、全体的にみると不満より満足の割合の方が高い傾向がみられ、SNSの投稿を見てでかけた体験はポジティブにとらえられていると言えそうです(図 7)。

 

 

 

4. LINE は続伸し、女性29 歳以下の利用率が97.1%へ。Instagram は幅広い年齢層に広がり、男性60 代も20%を超える。
スマートフォンで利用するSNS や動画投稿サービスごとに利用率をみると、LINE の利用が全体で5 ポイント近く伸び、特に女性の29 歳以下では97.1%となりました。Instagram は幅広い年代に利用が拡大し、男性60 代の利用も20%を超えました。また、Youtube は男性60 代、女性40~50 代で大きく増加しました。音楽にのせて短編動画を共有できることで話題となったTikTokは今年から調査項目に加えたため、時系列の変化はわかりませんが、男性29 歳以下の15.5%、女性29 歳以下の6.8%(全体3.0%)が利用しており、若い人を中心に広がっていることがわかります(表1)。

 

 

【スマートフォンと購買行動について】

5.今年の猛暑や災害をきっかけに増えたことは「食料品や飲料を蓄える」、「まとめ買い」、「日用品のネットショッピング」

今年の夏は、猛暑や地震、台風などの災害が続きました。身の回りでは、「あまりの暑さに、買い物に出かけるのが億劫で、日用品もネットで買うようになった」といった声も聞かれました。そこで、買い物に関して、今年の猛暑や災害をきっかけとして増えたことを聞きました。購買スタイルに関して増えたこととしては、「蓄え(23.3%)」や「1 回でまとめ買い(15.8%)」が多くあげられ、特に女性でその傾向が強くなりました。購入場所については、「自宅の近く(17.0%)」や「ネットショッピング(食品や日常品)(12.9%)」が上位となり、お金の利用に関しては、「現金以外を利用する(11.2%)」傾向が強まったようです。ネットショッピングが増えたことも、現金以外の利用が増加した一因と考えられます。いずれにしても、今 年の暑さは、日用品も含めたネットショッピングがより身近に浸透するきっかけとなったのかもしれません(図 8)。

 

 

6.約75%がスマートフォンを通じて普段の買い物をする。29 歳以下女性は 92.2%が経験あり。利用したことのあるスマホ決済の 1 位は「Apple Pay(11.9%)」。「楽天ペイ」、「LINE Pay」が続く

ではスマートフォンを通じた買い物経験はどれくらいあるのでしょうか。全体では、74.8%がスマートフォンでの購入経験があり、特に29歳以下の女性では92.2%とほとんどの回答者に購入経験がある結果となりました(図9)。決済方法で最も多いのはカード決済(62.9%)ですが、男女29歳以下では、「コンビニ払いや振り込み」が他の年代と比較して高く、また、女性29歳以下はスマホのまとめ払いが高くなりました。スマホのまとめ払いについては、総じて女性の方が男性より割合が高く、ペイパルなどのオンライン決済については、男性の方が割合が高い傾向となりました(図10) 。

利用したことがある主なスマホ決済アプリの中で最も高かったのは、Apple Pay(11.9%)で、男女ともに 30 代以下ではより割合が高くなり、若い人の間で浸透してきているようです。29 歳以下の女性ではLINE ペイの割合も高くなりました(図11)。

 

 

 

 

7.スマートフォンを利用した旅行商品の予約や購入の割合は続伸するが、「海外ツアー」は昨年に続いて減少傾向に

スマートフォンを利用した旅行商品の予約や購入割合は年々増加し、47.3%と昨年より2.1ポイント増加しました。購入したもの別にみると、宿泊施設(27.7%)が最も高く、レストラン(15.8%)、国内ツ アー(15.7%)が続きました。レストランやレンタカーの予約や購入は今年大きな伸びを見せましたが、海外 ツアー(パッケージツアー)については、伸び悩みが続いています。航空券や宿泊施設の購入割合も、それぞれ増 加をしていることから、ツアーではなく、宿泊先や交通手段を別々に予約購入する個人型旅行が増えていることが 背景にあると考えられます。また、プライベートでスマートフォンを利用しているものの、ツアー(国内、海外合 算)をスマートフォン以外で購入した人に対し、スマートフォンで購入しない理由を聞いたところ、「色々な入力をするのが面倒(40.3%)」が高くなりました。減少の理由には、使い勝手の面でのストレスもあるのかもしれません。(図 12~図 15)。

 

 

 

 

<お問い合わせ>
(株)JTB総合研究所
調査分析担当:早野陽子
広報担当:早野・三ツ橋・波潟
03-6722-0759
www.tourism.jp
ページトップへ