海外観光旅行の現状2018(3)

2018/07/04

株式会社JTB総合研究所

 

【団塊世代に続く、海外旅行消費のけん引者を知る ~過去の海外旅行経験と今後の意向~】

 7.初めての海外旅行の経験は 20 代が多いが、ポストミレ二アル世代は、4 割以上が 18 歳未満で経験キネマ世代は 23.8%が、ビジネス旅行が初めての海外旅行

 本調査対象者に初めて海外旅行に行った年齢を聞いてみたところ、若い世代ほど初めての海外旅行の年齢は早まり、ポストミレ二アル世代は、49.4%が 18 歳未満でした。ポストミレ二アル世代とプレゆとり世代は 18 歳未満が多く、それ以外のすべての世代で、20 代ではじめてという人が多くなりました。高齢になっても海外旅行に行っている人は、若いうちの経験が重要と言えそうです(図 20)。旅行の内容は、現在 73 歳以上のキネマ世代は、ビジネス旅行が初めての海外旅行という人が多く、また上の世代から、団塊世代、ポスト団塊世代、バブル世代、ポスト団塊 Jr.世代は 20 代での友人との観光旅行が多くなっています。卒業旅行が増えたのは団塊 Jr. とバブル世代、それより下の世代は、少なくなっています(図 21)。

 海外での居住経験や出張経験について聞いたところ、出張経験については、バブル世代が 23.0%となり、前章で述べた 50 代男性が「航空会社の直販サイト」をよく見ていたり「マイルやポイントを貯めている会社の商品」を選んだりしていることと関連がありそうです(22)

 学生時代の海外旅行先を聞いたところ、若い世代(ポストミレ二アル世代やミレ二アル世代)は、韓国や台湾が多い一方、親の世代である、バブル世代、ポスト団塊 Jr.世代、団塊 Jr.世代は、ハワイ、アメリカ西海岸、などが多くなりました。当社のミレ二アル世代の調査によると、日常のファッションやインテリアなどの参考にする国は韓国が挙げられ、彼らにとっては日常の一部となり第三次韓流ブームと深くかかわっていると思われます(図 23)。

 では若い世代は欧米諸国に関心がないのでしょうか。経済や時間といった制約がなければ行きたい国を聞いたところ、全体では、ハワイ、イタリア、フランス、北欧、オーストラリア、スペインの順で多くなりました。若い世代においても、ハワイやヨーロッパ旅行への希望は他世代に負けず高いことがわかりました(図 24)。旅行先の決定にどんな志向があるか聞いてみたところ、ポストミレ二アル世代、ミレ二アル世代は、ともに 8 割が「まだ行っていない新しい場所を探していくタイプ」を選び、好奇心旺盛ということがわかりました(図 25)。「好きな場所を繰り返し訪れるタイプ」は、団塊ジュニア世代、バブル世代、ポスト団塊世代で多く 具体的にはハワイ、韓国、などがあげられます。

 最後に、日本でも話題のシェアリングサービスを海外でどの程度利用しているか聞いてみました。一番多かったのは「タクシー配車サービス」で、調査対象者の 11.0%が利用していました。民泊については、オーナーが同居している物件では、5%が利用しており、ポストミレ二アル世代とキネマ世代の利用が多くなっています。

 「マッチングサービスで自分が現地で何かを提供した経験」は、ミレ二アル世代、プレゆとり世代、ポスト団塊Jr.世代で高くなっています(図 26)。

 

8.まとめ

海外旅行の世代交代がすすむ

 団塊世代の約5割、キネマ世代の約7割は、体調不良や体力の衰えなど身体的な要因と共に、パスポートの申請や旅行の計画や予約が面倒など、心理的な億劫さから、今後の海外旅行から卒業・卒業に向かおうとする意識が見られました。一方、団塊、キネマ世代に続く、ポスト団塊世代やバブル世代は、退職や子離れなどを期に、海外旅行を増やしたいという意識が高く、海外旅行の世代交代が進んでいます。成人をむかえ、これから本格的に海外旅行を始めるポストミレニアル世代にどのように海外旅行の魅力を伝えていくかということも重要なポ イントであると考えられます。

 

● 年代ごとの情報接点や活用の違いが浮き彫りに

 旅行商品購入のプロセスをみると、年代ごとの情報接点や情報の活用方法が異なることによって、購入する商品が違うことが分ります。その結果、旅行商品ブランドや会社に対する意識にも違いがあると言えそうです。

 20 代以下の男女は商品を探すために価格比較サイト(メタサーチ)の利用が多い一方で、店舗の社員からの案内も多い傾向が見られました。ウェブ広告(インターネット広告やリスティング広告)やテレビコマーシャルに反応したのは 40 代以下の男性でした。20 代男性は「商品ブランドも会社名も意識する」が多く、20 代女性は「会社名は意識するが商品ブランドは意識しない」が多くなり、結果に違いが出ました。40 代男女は「商品ブランドも会社名も意識しない」が最多となりましたが、これは個人旅行の割合が高く、OTAや航空会社直販サイトの利用が多いことと関連がありそうです。

 60 代以上の男女は旅行会社のウェブサイト利用が多いということが判明しましたが、商品の購入に「商品ブランドも会社名も意識する」が半数近くを占めました。またこの年代だけが、商品の選定理由に価格の安さよりも「長年利用している会社・ブランドだから」が高くなり、商品ブランドの認知度も高い結果となりました。若い世代になると商品ブランドの認知度が下がり、また彼らが活用するメタサーチを初めとする情報接点では、価格の比較は容易になりましたが、細かい内容やさらに商品ブランド全体のイメージや特徴は伝わりにくくなることが考えられます。旅行者の商品ブランドや会社の意識への対応は、海外旅行の世代交代とともに、今一度位置づけを考えてみることも必要ではないでしょうか。

 

 社会環境やテクノロジーの進化にともない、人々の価値観も変わっていきます。旅行という行為だけにとらわれず、新しい世代のライフスタイルや社会観などを広く捉えたマーケティングが新しい旅行者像を紐解いていく近道かもしれません。

 

<お問い合わせ>
(株)JTB総合研究所
調査・分析担当:三ツ橋、早野、神
広報担当:三ツ橋・早野・波潟
03-6722-0759
www.tourism.jp
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