スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2017)

2017/12/12

株式会社JTB総合研究所

 インスタ人気がけん引し、SNSの利用率が回復

2015 44.8%⇒2016 年37.9%⇒2017 年 41.0%)。Facebook とTwitter も若い男性の利用が再上昇

 SNSごとに見せたい自分を使い分け。“ハレの日消費”はインスタで

Instagram は「個性」、Facebook は「フォーマルな顔」、Twitter は「本音」で語りたい男性は見栄っ張り?
「インスタ映え」を意識した行動は女性より男性に多い

 スマートフォンでの旅行商品購入は継続的に増加するが、海外ツアーは減少

スマートフォンで購入をしない理由は「色々な情報の入力が面倒くさい」
「国内旅行商品はオンライン専門宿泊予約サイトでまず探す」が過半数の 52.8

 自治体からの情報提供は「更新情報が古い」、「タイムリーな情報が少ない」

ご当地アプリのダウンロード経験は 11.4%。継続利用されるのは
「観光名所やイベントが紹介されているアプリ」、「街歩きやご当地クエストを楽しめるアプリ」など

 

(株)JTB総合研究所(東京都港区 代表取締役社長 野澤肇)は、「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2017)」を実施しました。本調査は 2013 年から経年で実施し、今年で 5 回目となります。当社は、生活者のライフスタイルや価値観が消費行動や旅行に与える影響に関する調査分析を継続的に行っています。
今年の流行語大賞に「インスタ映え」が選ばれました。当社の調査で年を追うごとに存在感を増していたInstagram は投稿内容を消費や行動の参考にするための「情報源」としての存在だけではなく、投稿を目的に消費や行動を促す「動機付け」としての存在を高め、社会に影響を与えました。一方、今年後半には相次いでスマートスピーカー(AI との会話による音声サービス)が発売され、今後の国内での広がりと私たちの生活スタイルへの影響が注目されます。
本調査はスマートフォンの利用実態と人びとの意識を継続的に調べることで、今後の生活や旅行行動に関する変化の兆しをとらえようとするものです。

○調査概要:(調査方法)インターネットアンケート調査 /(実施期間)2017 年 9 月 25 日~9 月 26 日
○調査対象者:
(スクリーニング調査)首都圏、名古屋圏、大阪圏に住む 18 歳から 69 歳までの男女 10,000
(本調査)スクリーニング調査回答者のうち、プライベートでスマートフォンを利用し、過去1年以内に1回以上の国内旅行(日帰りも含める)をしたことがある 1,030

 

【インターネットやスマートフォンの利用実態について】

1.スマートフォンでよく使う機能は、ニュース、地図、画像投稿サイトなどが増加。メール、電話は減少し続ける
前年(2016 年)に減少した SNS の利用は再び上昇。Instagram と Twitter がけん引。Facebook は女性離れの傾向SNS は「交流」するためのツールから「情報」を取得するためのツールへの流れが続く

スマートフォンでよく使う機能について時系列でみると、メールや電話の利用は減少傾向にあり、LINE のようなメッセージ・チャットアプリやニュースサイト・アプリ、地図アプリ、画像投稿サイト、テレビ・映画、ネットショッピング(コンテンツ)が増加傾向にありました。調査開始以来 2016 年に初めて利用率が下がった SNS については、今年再び利用率が上昇しました。
前年に利用率を下げたTwitter は今年全体で6.1 ポイント上昇、特に29 歳以下の男女および30 代男性が大きく伸びました。Facebook の利用率は前年と同率でしたが、29 歳以下と 30 代男性の利用率が回復しています。若い男性で利用が回復した背景としては、Facebook は最近人気となった Instagram のストーリー機能(動画)との連携や、Twitter は自分での投稿の他、キャンペーンのシェアなどに利用されていることなどが考えられます(図1、表1)。より画像の投稿を好む女性では Instagram の利用が広がり、Facebook は女性離れが明らかになってきました。
SNSで経験したことについては、去年同様、SNS疲れの傾向が落ち着くとともに、「SNSの投稿で行ってみたいと思った場所に行った」や「SNSで知った情報でいいと思ったものを購入した」が増加しており、交流ツールから情報ツールへの流れが続いている傾向がみられました(図 2)。

 

2.紙の新聞の定期購読は減少するが、新聞のデジタル版や駅の売店での購入は増加。インターネットニュースも伸びる 利用のアプリやサイトはYahoo!ニュースが 88.5%と圧倒的シェアだが、LINE ニュースも昨年から 2.8 ポイント伸び 30.5%

時事関係の情報源についての質問では、「紙の新聞の定期購読」は 2016 年の 48.4%から 1.3 ポイント減少し、47.1%となりました。一方、「インターネットニュース」は2016 年の64.9%から10 ポイント増加し、74.9%、「無料デジタル版」は2016 13.0%、2017 17.7%で 4.7 ポイント増加、「紙の新聞を駅の売店などで購入」は 2.4 ポイント増加して 4.9%となりました。また「読まない」という人はやや減少しています。それぞれ、自分に合った方法で情報を取り入れている様子が見えてきます。
具体的に利用しているサイトやアプリとしては、引き続きYahoo!ニュースが 88.5%と1位ですが、2 位のLINEニュースも2016 年の 25.7%から 2017 年は 30.5%と、4.8 ポイント増加しました。一方、SmartNews やグノシーなど単体のニュースアプリは伸びとどまる結果となりました。LINEニュースが増加した要因としては、利用率が高い LINE を日常的に使う中で、天気予報やニュースなどの情報収集、ショッピングなど様々なことを一元的に済ますことができる利便性が支持されていることがあるのかもしれません(図 3、4)。

 

3.利用する SNS の種類ごとに見せたい自分は異なり、それに合わせて発信内容を変える傾向が見られる見せたい自分は:Instagram「個性を表現」、Facebook「フォーマルなイメージ」、Twitter「本音で語りたい」
投稿内容は:Instagram「ちょっとした贅沢や特別なおでかけ」、Facebook「趣味の活動」、Twitter「ちょっとした思いつき」

2017 年は「インスタ映え」といった言葉が流行語となりましたが、利用するSNSの種類によって、同じ人物でも見せたい自分のイメージが異なり、投稿内容を意識的に変えているようなことはあるのでしょうか。SNSの種類別にどんな自分を表現したいかを聞いたところ、LINEは「特にない(41.9%)が 1 位でしたが、Instagramは「自分らしさや個性を表現したい(54.2%)」、Twitt erは「本音で語りたい(38.9%)」、Facebookは「フォーマルなイメージを表現したい(11.3%)」がそれぞれ高い傾向でした。
発信内容では、Instagramは「食事やグルメ(51.8%)」、「普段のおでかけ(38.0%)」、「ちょっとした贅沢や特別なおでかけ(36.1%)」、「ファッションやインテリア(24.7%)」が高く、ちょっと背伸びしたハレの日の自分自身を表現したいという意識がみえてきます。一方Twitterは、「本音で語りたい」という結果が表している通り、「ちょっとした思いつきやつぶやき(68.4%)」、「趣味の活動など(50.5%)」、「疑問や知りたいこと(23.7%)」、「ネガティブな発言や愚痴(23.2%)」、「キャンペーンのシェアや応募など(21.1%)」など、等身大の自分としての表現が多いようです。LINEやFacebookはInstagramやTwitterほどの特徴は見られませんでしたが、「家族や子供のこと」、「仕事に関連するお知らせ」などが多い傾向となりました。スマートフォンで利用する SNS の数は4つ以上が 34.5%と最も多いことからも、一人の人が複数の顔を使い分けていると言えそうです。
利用する SNS ごとに SNS で経験したことや投稿で経験したことをみてみると、Instagram の利用者では「SNS の投稿で行ってみたいと思った場所に出かけた(38.6%)」、「SNS で発信したいと思い話題の場所に出かけた(10.0%)」などが Facebook、TwitterLINE の利用者と比べて高く、消費やお出かけのきっかけとしての寄与が大きいことがわかります。Twitter の利用者では、「行ってみたいと思った場所に行った」は Instagram 利用者ほど高くありませんが、「いいと思ったものを購入した」はInstagram に次いで高くなっています。一方、Facebook LINE の利用者はどちらの項目についても回答割合が低い傾向が見られました(図 58)。

 

4.Instagram を利用する理由は「写真がきれいで他の人の投稿を見るのが楽しい(55.6%)」、「有名人や企業のアカウントが多く情報収集に便利(35.8%)」
インスタ映えを意識した行動は男性に多い。「投稿を目的に普段しないようなことをした(男性 17.0%、女性 92%)」「欲しいものよりインパクトがありそうなものを購入した(男性 15.2%、女性 11.7%)

次に、人気が続いているInstagramについて、少し深堀りをしてみます。Instagramの利用については「写真がきれいで他の人の投稿を見るのが楽しい(55.6%)」が最も高く、「有名人や企業のアカウントが多く情報収集に便利(35.8%)が続きました。男女別の特徴としては、「写真がきれいで他の人の投稿を見るのが楽しい」は女性の方が高く、「インスタ映えを気にしなければならず面倒くさい」は男性の方が高く、差がでました。
次に、Instagram の利用者にSNSで情報発信する際に経験したことを聞いてみると、「地味な色よりカラフルな投稿写真に目をひかれる(24.5%)」が 1 位でした。特に女性は男性よりカラフルな写真を好む傾向が見られ、虹色のスイーツなどが流行る理由がわかります。一方、2 位の「画像より動画に目をひかれる」は女性より男性が高くなりました。また、「食べたいものよりインパクトがありそうなものを食べた」、「欲しいものよりインパクトがありそうなものを購入した」、「投稿目的に普段しないようなことをした」も女性より男性の回答率が高くなりました。「インスタ映えを気にしなければならず面倒くさい」が男性で高かったことからも、投稿内容で自分がどのように見られるかを気にした発信をしているのは、意外にも女性より男性の方だと言えそうです(図 910)。

 

5.女性の方が SNS で人や企業などをフォローする割合が高い
女性がフォローする対象は「有名人」が1位、「衣料品・ファッション雑貨」、「レストラン・飲食店」、「美容・化粧品」と続き、      男性がフォローする対象は「有名人」、「レストラン・飲食店」、「映画・音楽」、「衣料品、ファッション雑貨」の順で続く

SNSでどのような人や企業をフォローしているか聞いてみたところ、フォロー先としては「有名人」が最も多く、29.4%でした。全体的に男性より女性の方がフォローしている割合が高い傾向が見られましたが、フォローしている対象先としては、女性は「有名人」、「衣料品・ファッション雑貨」「レストラン・飲食店」、「美容・化粧品」、男性は「有名人」、「レストラン・飲食店」、「映画・音楽」「衣料品、ファッション雑貨」の順となりました。性年代別では、29 歳以下の女性が突出して、有名人や企業をフォローする割合が高くなりました。29 歳以下の女性は、「美容・化粧品」に続き、「テーマパーク」も高い結果でした。特筆すべきは、多くの項目で、40 代より 50 代女性の方がフォローしている割合が高かったことです。子育てなどが一段落し、今後の自分のライフスタイルを考えていく上で積極的に情報収集を始めている時期なのかもしれません(図 11)。

 

【音声サービスの利用経験や意向について】

6.経験のある音声サービス1位は「スマホのエージェント機能(22.1%)」。「チャットボットのアシスタント機能(8.3%)」が続く      利用時の不満は「思うような会話ができない(13.5%)。」年代別では 29 歳以下の女性の不満が強い傾向

今年の秋から各社がスマートスピーカーやチャットボットなどの販売を始めていますが、今現在、スマホ利用者は音声サービスについてどのように考えているのでしょうか、利用経験や気持ちを聞きました。
利用したことのある音声サービスは「スマホのエージェント機能」(iPhone Siri などスマートフォンに話しかけるとそれに応じた情報提供をしてくれるサービス)が最多で 22.1%でした。性年代別には、29 歳以下の男女がそれぞれ 38.8%、37.9%と全体を大きく上回っています。また、AI と会話することについては「思うように会話ができず不満(13.5%)」と「手入力がいらず便利(13.5%)」が同じ割合で1位となり、一長一短といったところのようです。「思うように会話ができず不満」は若い年代、「手入力がいらず便利」は年齢が高い層で比較的、回答率が高くなっています。また「自分には必要ない・使いたくない」の割合も 29 歳以下の男女で高いことから、利用してみたものの、あまり思ったように活用できなかった経験があるのかもしれません。ただし今後の技術の進化による使い勝手の改善で大きく変わる可能性はありそうです。なお、本調査は、各社のスマートスピーカーなどの音声サービスが販売される直前に実施したもので、調査時点ではまだそれほど大きくは報道されていませんでした。音声サービスに関し、来年の調査までにどのように人々の意識が変わるのか、その変化に注目したいところです(図 12~13)。

 

【スマートフォンを利用した旅行商品の予約や購入、情報収集について】

7.   スマートフォンを利用した旅行商品の予約や購入の割合は調査開始以来、継続的に増加し、45.2%へ
海外ツアーを除き、すべての項目で予約購入率が上がる。予約購入しない理由は「色々な情報を入力するのが面倒」

2013 年以来、継続的に聴取している「スマートフォンを利用した旅行商品の予約や購入」については、調査開始時の 19.4% から 2 倍以上の 45.2%となりました。項目別にみても、海外パッケージツアーを除くすべてにおいて、購入の割合が増加しています。特に「宿泊施設」は昨年の 18.6%から 6.6 ポイント増の 25.2%でした。とはいえ、まだ過半数はスマートフォンでの購入をしていないことになります。予約や購入をしない理由の1位は「スマホで色々な情報を入力するのが面倒くさい(25.3%)」でした。年齢別にみると、男性では 30 代と 40 代、女性では 40 代と 50 代の間に明確な利用の壁が存在することがわかります。海外ツアーの購入割合減少の背景としては、年々FIT(個人旅行)やダイナミックパッケージの割合が上昇している(*1)ことも考えられ ますが、海外ツアーの予約購入には、パスポート番号や支払方法、オプションの選択など煩雑な入力が必要であることも敬遠される理由の一つかもしれません(図 1416)。

 

8.   国内旅行に関して参考にしたサイトは「宿泊予約サイト」や「旅行比較サイト」が伸びる

国内旅行に関して参考にしたサイトを聞いたところ、昨年より増加が大きかったのは「じゃらん(33.5⇒37.6%)」「トラベルコ(5.0%⇒10.2%)」など。エクスペディア、ブッキングドットコムなどのホテル予約サイトも増加傾向でした。前章のスマートフォンで購入した旅行商品の1位も「宿泊施設」だったことを考えると、特に国内旅行においてはスマートフォンで宿泊施設を購入することが一般的になってきていると考えられます。またJALやANAが参考にされる割合も高くなっており、航空券についても同様のことが言えそうです。一方、オンライン専門の旅行会社や運輸機関のサイトが増加する中、従来型の旅行会社は伸び悩んでいます。
利用する旅行商品を探すためのファーストアクションとして最初に行うことは、「オンライン専門の宿泊予約サイトで探す」が国内では 52.8%と過半数となり、海外旅行でも 25.1%と最も高くなりました。また、国内旅行の 2 位には「旅行比較サイト」が入り、若い層では、より割合が高い傾向となりました。特に国内旅行においては、旅行に行くとなったら、まずは宿泊予約サイトや旅行比較サイトで探す、という行動が一般的になってきているようです(本設問は、スマートフォンの利用の有無にかかわらず一般的な傾向をみるため、スクリーニング調査での聴取としました。)。比較サイトを利用した場合、どうしても航空券と宿だけがセットになったような価格の安い商品が上位に上がり、旅行会社のパッケージツアーにはリーチしにくくなっているという実情があるのかもしれません。オンラインでの商品選択の際、価格だけでなく、内容や質をどのように旅行者に伝えていくのかということも今後の課題ではないでしょうか(図 17~19)。

 

9.   自治体からの情報提供は「更新情報が古い」「タイムリーな情報が少ない」
ご当地アプリのダウンロード経験は 11.4%。継続利用が多いのは「観光名所やイベントが紹介されているアプリ」「街歩きやご当地クエストを楽しめるアプリ」など

国内旅行では、旅行先が決まったところで、現地のより詳しい情報を知るために旅行先の自治体や観光協会のサイトを覗いてみることも多いと思います。旅行者は自治体や観光協会などからの情報提供について、どのように感じているのでしょうか。インターネットを通じた情報についての不満を聞いてみると、最も多かったのは「サイトの更新情報が古い(19.9%)」、次いで「タイムリーな情報が少ない(18.1%)」、「県や町単位のため、近隣でどのような観光ができるのかわかりにくい(14.1%)」と続きました。
また、「求めている情報が提供されていない」と回答した人に対し、具体的にその内容を書いてもらった結果では、「現地での足の情報が少ない」「有名なスポットしか紹介されていない」「おススメ度合がわからない」などの声が聞かれました。自治体では公共性を重んじる結果、ニッチな情報が少なく、情報の優先順位が付けられていないために特徴や売りが分かりにくい、といったことがありそうです。更新情報の古さも指摘されていることから、サイトを作るだけでなく、日々の運営を重視していくこと、横並びの情報ではなくメリハリの利いた情報発信などが求められているのではないでしょうか。
最近増えてきた「ご当地アプリ」(地域の観光情報やタウン情報などが提供されるアプリ。ゲーム形式で地域の歴史や文化などを学べるご当地クエストなどもある。)に関しては、ダウンロード経験があると回答した人は全体の 11.4%にとどまりました。ダウンロードした目的は「旅行先の情報を得るため(5.5%)」、「居住地域の情報を得るため(4.4%)」、「思い入れのある地域の情報を得るため(3.3%)」でした。
ダウンロード経験者に対し、ダウンロードしたアプリの種類を聞いた結果では、「観光名所やイベントが紹介されているアプリ(73.5%)」、「その土地の歴史や文化をARなどで学べるアプリ(31.6%)」、「GPSなどと連動して防災情報が提供されるアプリ(27.4%)」などが高くなりました。
また、ダウンロードしたアプリの中で、今でも継続的に利用しているものとしては、「観光名所やイベントが紹介されているアプリ」「街歩きやご当地クエストをVRなどで楽しめるアプリ」「GPSなどと連動して防災情報が提供されるアプリ」などがあがりました(図 2022、表 2)。

 

 

【まとめ】

● 見せたい自分によってSNSは使い分け。“ハレの日消費”はインスタで
2016 年の調査では調査開始以来、初めて SNS の利用率が減少しましたが、2017 年は「インスタ映え」が流行語となったように、Instagram がけん引する形でSNS の利用が回復しました。初期は若い女性の利用が主だったInstagram ですが、LINE が若い女性から男性、高齢者へと広がりを見せたのと同様に、Instagram の利用が幅広い層へと拡大してきたことが回復の一因と考えられます。Instagram はすでに「流行」となって広がりましたが、これに続く新しい動きを模索する企業も出てきているようです。今後の流れが気になります。
また、SNS の複数利用も広がる中で、SNS の種類ごとに見せたい自分を使い分けていることもわかりました。十人十色ではなく、一人十色とも言われるように、様々な場面において最適な自分を演出していくことが、この複雑なデジタル社会をうまく渡っていくための術となっているのかもしれません。

 

● 自治体からの情報提供は、ツールの作成にとどまらず“継続的な運営”が重要
自治体からの情報提供については、「更新情報が古い」、「一般的な情報しかない」、「優先順位がわかりにくい」など厳しい意見が散見されました。実際に街や観光協会のサイトを開いてみると、過去に実施していた体験型ツアーを現在でもまだ実施しているのかどうかわからない、最後の更新日時が数年前である、行政単位での情報提供にとどまり観光できるルートの全体像がつかめない、ルートはあってもグルメやお土産、宿泊、二次交通の情報などが連動していない、といったものが少なくないようです。また、ご当地アプリについても利用率は決して高くありません。地域の情報を発信するためのツールとして様々なウェブサイトやアプリなどが開発されているものの、作ったところで満足し、その後のメンテナンスやコンテンツの拡充を怠っている場合も多いのではないでしょうか。継続的な利用を促進するためには、その土地への思い入れを持ってもらうこと、常に内容を利用者に合わせ、進化させていくことが重要です。
世界経済フォーラム(WEF)が発表した 2017 年版の観光競争力ランキングにおいて、日本は過去最高の「4 位」でしたが、国や自治体からの情報提供の有効性を示す「国のブランド戦略(Country Brand Strategy)」というカテゴリーでは 42 位にとどまりました。SNS を含め、インターネットを通じてどのような情報提供を行っていくのか、今後のデジタルマーケティングへの取り組みが地域の勝敗を決めるかもしれません。日本政府観光局もデジタルマーケティングの強化を始め、地域においては「観光経営」の視点を持った観光地域づくりの舵取り役となる DMODestination Management Organization)が注目されています。今後定量的な評価が求められる中、様々なデータの活用などをもとに関係者が力を合わせることで、観光地域マーケティング・ブランディングが浸透し、より魅力的な地域の情報発信につながることを期待したいところです。

 

● スマホを通じた旅行商品の購入促進には、消費者目線に立った「使いがって」や「リーチしやすさ」が重要
スマートフォンを通じた旅行商品の購入は全体としては増加しているものの、海外ツアーに関しては減少傾向にあります。FIT(個人旅行)の広がりなども要因として考えられますが、実際に海外ツアーを予約しようとすると、すべて情報を入力し終わった後に結局、空きがない、エラーで最初の画面に戻る、といったことも珍しくありません。今回の調査結果では、男性は 40 代以上、女性は 50 代以上になると「スマートフォンで色々な情報を入力するのが面倒くさい」という回答が急上昇することがわかりました。AI との会話で様々なサービスを享受できるスマートスピーカーの利用が進むアメリカでは、2017 9 月時点で約 2700 万台が出荷(*2)、2020 年には世界で 2,275 億円の市場規模となる(*3)と予測され、音声だけで操作ができる簡便さから高齢者層などでの活用も期待されています。日本でもこの秋から続々と販売開始となり、ジェイティービーをはじめ、旅行会社や航空会社、鉄道会社もコンテンツの提供などを開始しました。
比較サイトの利用が浸透してきたことで、消費者が価格を中心に判断する傾向が強まり、商品の内容が見えづらくなっている可能性もあります。今後は、発信する内容をいかに消費者の手元までわかりやすく届けるのか、消費者がそれに「簡単に、ストレスなく」応じるために何が必要なのか、消費者の理解と利便性を高める工夫が重要になりそうです。
また、企業が顧客情報を管理していた時代から、今後は個人が自分自身の情報を管理し、サービスを受けたい時だけそれに応じた情報を企業に開示する時代に変わると言われています。そのような時代にあっては、顧客の側から積極的につながりを持ってもらえるような魅力的な企業ブランドの確立でファン作りをしていくことも、より大切になるのではないでしょうか。 

 

*1 JTB レポート 2017「日本人海外旅行のすべて」
*2 CIRP レポート(2017 11 6 日)
*3 Gatner レポート(2016 10 3 日)
<お問い合わせ>
(株)JTB総合研究所
調査分析担当:早野陽子
広報担当:早野・三ツ橋・波潟
03-6722-0759
www.tourism.jp
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