ミレニアル世代(22~28歳)の価値観と旅行に関する調査

2017/09/28

株式会社JTB総合研究所

(株)JTB 総合研究所(東京都港区代表取締役社長 野澤  肇)は、「ミレニアル世代(22~28 歳)の価値観と旅行に関する調査(2017)」の調査研究をまとめました。当社は生活者のライフスタイルや価値観が消費行動や旅行に与える影響に関する調査研究を多様な視点で継続的に行っています。

 

ミレニアル世代の定義は様々ですが、概ね 1980 年代後半から 90 年代生まれの 2 0 代から 30 代前半の世代をさします。この世代はデジタル社会に適応した新しい価値観を持ち、今後の消費を変える存在として海外でも注目されています。近年急増しているアジア新興国からの訪日インバウンドの中心も、自国の経済成長を背景に高い教育水準と高所得の恩恵を受けているミレニアル世代です。全世界で 29 歳以下の人口が総人口に占める割合 は 52.4%と日本の 27.9%の倍近くに上り、将来旅行市場の 20%近くをミレニアル世代が占めるとも言われてい ます(UNWTO 国連世界観光機関)。

平成はまさにミレニアル世代が生まれ育った時代です。バブル崩壊を経た低成長期に育ったこの世代は、若い頃に活発な消費体験を持つバブル世代を親に持ち、幼少期の家族旅行の体験が前の世代より多く、それが成人後の旅行消費を後押ししていることが当社の調査で既に分かっています*。またスマホネイティブで、SNSと人とつながり自らがメディア媒体として積極的に発信することで他世代への波及力が消費に影響を及ぼすのではないかという点から、当社はこの世代の価値観や行動に早くから着目してきました。

今回の調査では、日本を中心に、韓国、オーストラリア、インドネシアのミレニアル世代の価値観や行動と共に、発信力が、世代や国と国との間で人びとの行動や消費にどう影響し合うのかを考察しました。

*JTB 総合研究所「ミレニアル世代の価値観と旅行に関する調査(2014)」

 

【調査概要】

調査方法:インターネットアンケート調査

調査対象国:日本(1036 サンプル)、韓国(600 サンプル)、インドネシア(600 サンプル)、豪州(600 サンプル) 調査対象者:過去3年以内に海外観光旅行へ行ったことがある 18 歳以上の男女

調査期間:2017 年 9 月 1 日~9 月 12 日

 

【ミレニアル世代とは】(2017 年時点)

年齢:22 歳~28 歳。ミレニアル世代の年齢については、世界中で様々な定義があり、アメリカでは 1981 年から2000 年に生まれた 17 歳~39 歳と幅広い年代とする場合もありますが、JTB 総合研究所では、各人の消費性向の 形成へ最も影響が大きいとされるティーンエイジャーの時期にスマートフォンが普及し、就職氷河期がほぼ終息した 2009 年以降に成人を迎えた 22 歳~28 歳を日本におけるミレニアル世代と定義し、分析を進めました。韓国、インドネシア、オーストラリアについても日本と年齢を合わせ、比較を行っています。

 

【比較対象地域】

海外旅行への意識についても比較を行うため、対象とする地域は日本と同じ環太平洋地域の中で、海外へ渡航す るために主に飛行機を利用する国である韓国、インドネシア、オーストラリアとしました。韓国は文化的にも人流的にも日本と交流が盛んで類似点も多いこと、インドネシアはアジアの新興国としてまさに経済の成長期であり、訪日旅行者も大きく増加していること、オーストラリアはアジアとは異なる文化を持ち、古くから訪日旅行者も多いこと、などの多様性や日本との交流における重要性なども鑑み、上記3か国を対象国として選定しています。

 

【参考:各世代の名称、定義と特徴】

 

世代名称 生年

年齢(2017年時)

特徴

キネマ(広義) 世代

1937

1945

72 ~ 79

戦後復興期に育つ。高度経済懪長期を支えた。世代名の由来通り、若い頃には空前の映画ブームで、映画を通じて海外文化を吸収した。海外には純粋な憧れを持つ。

団塊世代

1946

1950

67  ~ 71

青年期に高度経済懪長を過ごす。40代のバブル崩壊まで右肩上がりの経済懪長を経験。その後の不況のあおりを受けた人も少なくない。安保問題などからアメリカ文化に憧れと反発。

ポスト団塊世代

1951

1959

58  ~ 66

右肩上がりの経済を担った世代。三無主義、シラケ世代とも呼ばれ、上の世代ほど会社一辺倒ではない。若い頃のデートに車は必須。最初のデザイナーズブランドブーム、テニスやスキーなどを楽しんだ。

バブル世代

1960

1970

 47  ~ 57

いわゆるバブル期に消費を謳歌した世代。男女雇用均等法の施行で男性並みに働く女性も増加した。様々なモノやコトの経験が豊富で、価値を認めたものには支出を惜しまない。

団塊Jr.世代

1971

1975

42  ~ 46

懪人前後にバブル崩壊を経験し、期待外れ感を味わった世代。子供の頃にはファミコンが流行し、ゲーム好きも多い。

ポスト団塊Jr.世代

1976

1980

37  ~ 41

就職氷河期を経験し、無駄な消費は嫌う世代。派遣労働などを経験している人も多い。高校生の時にポケベルが流行った。

プレゆとり世代

1981

1988

29  ~ 36

日本の景気が良かった時代を知らないため、現状に特に不満も持っていない世代。ただし先の見え ない社会には不安を持っており、友人や仲間を大切にする傾向。mixiや2ちゃんねるなどネットでの発信も広がった。

ミレニアル世代

1989

1995

22  ~ 28

プレゆとり世代同様に日本の景気が良かった時代を知らず、現状への不満は少ない。しかしバブル 世代である親世代の価値観を共有し、ブランドなどを好む一面も。10代の後半からスマホ利用も多い。いわゆる「ゆとり教育」を受けた「ゆとり世代」とも重なる。

ポストミレニアル 世代

1996

1999

18  ~ 21

ミレニアル世代同様に、バブル世代である親世代の価値観を共有する。子供のころからデジタル社会に適応し、シェアリングなど新しい経済の形にも抵抗がない。自分たちは「ゆとり」世代ではないことにプライドを持つ。

 

【ミレニアル世代の世界共通の特徴】

海外のレポートから、ミレニアルの世界共通の特徴として大きく下記の4点があげられます。

(1)リベラルで自由な発想を持つ
(2)社会貢献意識が高い
(3)保有することに執着しない(シェアリングサービス活用)
(4)ミレニアル世代自身がメディアとして高い発信力を持つ(SNSの活用)

これらの特徴をベースに、日本と海外のミレニアルとの違いについて、価値観や行動を調査しました。

  

【ミレニアル世代の属性】

1.職業は、調査対象のすべての国で会社員の割合が最も多いが、
  国別の特徴として、インドネシアは経営者・役員、自営業が他国より大幅に高く、韓国は学生の比率が高い

調査対象者であるミレニアル世代(3年以内に海外旅行を経験)の職業は、全体ではどの国も会社員が最も多くなっていますが、国別の特徴としては、インドネシアでは「経営者・役員(12.6%)」および「自営業(17.9%)」が他に比べて大幅に高く、また韓国では「学生(28.1%)」が高くなっています(図 1)。海外旅行に出かける頻度については、海外旅行に2~3年に1度は行く、いわゆる‘海外旅行コア層’は、韓国、オーストラリア、日本、インドネシアの順で多くなっています。これは出国率の影響もあると考えられ、出国率が 30%を超えているオーストラリアと韓国の海外旅行コア層は70%を超えています。日本のミレニアル世代は海外旅行コア層が 50%で、「基本は国内旅行で時々海外」と「国内だけで海外にはほとんど行かない」を合算した国内旅行派が 46.6%と半数を占める結果となっています(図 6)。

 

 

 

【ミレニアル世代の「幸せ度」、「自国の将来への期待」や仕事に対する考え方】

2.日本のミレニアル世代は比較的「幸せ」と感じる。自国の期待も他世代と比較すると高いが他国との比較では低い
  期待できる理由は「平和」、「自由で平等」だから。日本のミレニアル世代は「絶望的」と考える割合も最も高い

まず普段の生活や自分の国をどんな気持ちで捉えているかを知るために、「現在の生活における幸せ度」と「自国の将来への期待」度を聞いてみました。世代別にみると、日本のミレニアル世代は「幸せ・やや幸せ(78.2%)」の割合が団塊・キネマ世代(現 67 歳~79 歳)の次に多く、また他国との比較ではオーストラリアに次いで多かったことから、多くの日本のミレニアル世代は比較的「幸せ」と感じていることがわかりました(図 9、10)。また、自国の将来についての期待度についても日本のミレニアル世代は「期待できる(20.9%)」が団塊・キネマ世代に続いて多い結果となりました(図 11)。

一方、国別では日本のミレニアル世代の自国への期待度は最も低く、インドネシア(65.3%)、オーストラ リア(47.3%)と大差がついてしまいました。また、自国の将来について「絶望的」と考える日本のミレニアル世代は日本のどの世代よりもその割合が高く(13.1%)、他国との比較でも最も高い結果となりました(図12)。

自国の将来に「期待できる」理由は「平和だから(48.8%)」、「自由で平等な国だから(44.2%)」が高く、「絶望的」および「不透明で分からない」および「絶望的」の理由は、「世界情勢が不安だから(49.7%)」「少子高齢化など人口の変化が心配だから(49.1%)」、が上位でした。インドネシア、オーストラリアのミレニアル世代は、自国の将来に対して「期待できる」が日本に比べてかなり高い結果となり(インドネシア65.3%、オーストラリア 47.3%)、その理由として、インドネシアは「今後の経済発展に期待できる(33.9%)」、「国のリーダーに期待できる(32.3%)」が上位にあがりました。オーストラリアは日本と同じ理由に加え、「社会システム(教育・年金・医療など)が確立しているから」が多い結果でした。韓国は日本よりやや「期待できる(23.0%)」が多く、その理由のトップに「国のリーダーに期待できるから(46.9%)」があがっています。一方「不透明で分からない(70.5%)」、「絶望的(6.5%)」の理由では、「国内の政治が不安だから(57.9%)」、「差別や偏見が根強いから(54.2%)」がいずれも半数を超えました(図 13、14)。

 

 

 

.日本のミレニアル世代は「海外で勉強や修行をしたい」が、語学や自国の文化を学ぶ必要性は強く感じていない
  環境破壊への心配、寄付や募金あるいは消費で応援する意識は他国より大幅に低い
  ポストミレニアル世代(現 18~21 歳)は一転してポジティブ志向、海外へ積極的に出たく、社会貢献の意識も高い

次にミレニアル世代の日々の生活における価値観を聞いてみました。日本のミレニアル世代は他の世代より、「海外で勉強や修行がしたい(ミレニアル 29.1%、全体 22.4%)」が高いものの、「外国語を使えることがますます重要だ(41.3%)」は最も低く、海外および日本の歴史や文化への関心も低い結果となりました(図15)。他国との比較では、韓国のミレニアル世代の価値観に大きな特徴が見られました。日本、オーストラリア、インドネアは総じて似た傾向となりましたが、日本は「地球の温暖化や環境破壊が心配だ(24.3%)」、「環境や地域を応援するためなら金額が高くても買いたい(4.4%)」、「募金や寄付は積極的にしたい(6.3%)」という環境や社会貢献に関する意識は他国よりかなり低い結果になりました。また、「いつか世界を変えたい
(12.1%)」も他3か国より大きな差で低い結果となりました。韓国は海外志向が他国より大幅に高く、また自然災害や環境破壊への関心が高い一方で、「技術の進化は人生の選択肢を広げる機会だ」、「世の中はすべて金で決まることが多い」、「学歴は高い方がいい」という現実主義が他国よりはっきりと見られました(図 16)。

ここで注目したいのはポストミレニアル世代(現 21 歳以下)です。全世代と比較して「海外で勉強や修行をしたい(30.6%)」が最も高く、外国語の重要性や国内外の歴史や文化を学びたいという意向もミレニアル世代より高くなっています。「海外に移住したい(22.3%)」や「いつか世界を変えたい(16.0%)」、また環境破壊や寄付や消費による応援の意向も全世代で最も高い結果となりました(図 15)

 

 

.日本のミレニアル世代は「仕事と家庭生活をバランスよく両立したい(52.9%)」
  他国と比べて「出世には関心がない(24.8%)」と大幅に高く、仕事を通じた社会貢献意識も低い結果に

ここ最近は働き方改革や人生100年時代に向けてセカンドライフをどう生きるかという議論が進んでいます。そこでミレニアル世代の就業観について聞いてみました。日本人全体では「仕事と家庭生活をバランスよく両立したい」と考えている人の割合が最も高く、特にミレニアル世代が最も高い結果となりました(ミレニアル 52.9%、全体 43.4%、)。「出世には関心がない(24.8%)」はプレゆとり世代や親世代であるバブル世代と同程度でした。「より上位の役職についていたい(16.0%)」はミレニアル世代が最も高かった一方で、他国との比較では大幅に低く、また「起業や経営者になること」「転職をしながらステップアップする」を含め た上昇志向全体が低い結果となりました。「ビジネスで得た利益を人や社会に貢献したい(12.6%)」、「非営利団体で人や社会に貢献したい(7.8%)」、「ボランティアや副業などで地元を応援するために働きたい(5.3%)」と仕事を通じた社会貢献意識についても、他の世代に比べてやや低く、他の3国との比較でもいずれも最も低い傾向が見られました。インドネシアは他国よりも起業志向が高い結果となり、回答者の職業構成からも独立志向が強いことが分かります(図 17、18)。

 

 

.日本のミレニアル世代がファッションやライフスタイルの情報を参考にする国は北米、北欧、フランス、韓国の順
  ポストミレニアル世代は韓国の情報を参考にする割合が欧米を抜いて最も高い結果に
  韓国、オーストラリア、インドネシアのミレニアル世代は、いずれも日本の情報を最も取り入れている

ミレニアル世代が自国以外でファッション・インテリアやライフスタイルなどの情報を取り入れ、参考にする国はどこか聞きました。日本のミレニアル世代は、上位から北米、北欧、フランス、韓国の順となりました。注目すべきは、ポストミレニアル世代(本調査では 18 歳~21 歳)では欧米を抜いて韓国が最も高い結果となったことです。かつての韓流ブームのような目に見えて大きなブームはありませんが、若い世代は日本のアイドルとなんら変わらない選択肢の1つとして普通に韓国のアイドル情報や彼らのファッション情報を取り入れているという声もきかれます。またバブル世代はイタリアやハワイへの情報に他の世代より高い関心を持っているという興味深い結果も出ました。バブルは崩壊しましたが、この時代のブランド商品や海外旅行の経験は忘れ去られたわけではなく、今でも参考にすべき情報として大きな存在感を持っているようです。

海外のミレニアル世代に関しては、韓国、オーストラリア、インドネシア、いずれも日本の情報を一番多く取り入れているという結果となりました。おそらくアニメやフィギュアなどが日常生活の中で広がって身近になり、情報も得やすくなっているのだと考えられます(図 19、20)。

 

 

.海外旅行では、オーストラリア、インドネシアは「自分の国や友人・家族で話題になっている場所へ行きたい」
  韓国は「海外で話題になっている場所へ行きたい」、日本「海外で話題になっているものを買ったり食べたりしたい」

日本のミレニアル世代にとって、海外旅行とは「知らない世界を経験すること(57.8%)」が最も多い結果となりました。日本の他の世代に比べると、「自分を成長させてくれるもの(24.3%)」が高く、一方で「リフレッシュ(40.8%)」は低い結果となりました(図 21)。他国と比べると「知らない世界を経験すること(57.8%)」、「自分へのごほうび(41.3%)」「家族や友人との思い出づくり(41.3%)」「リフレッシュ(40.8%)」が特に高い傾向でした。インドネシアは「学びや見聞を広めるもの」も同様に高くなりました。5 章でみたように、インドネシアは欧米、日本に限らず、周辺のアジア諸国の情報へも関心が高く、伸び行く経済環境のもと、若い世代も積極的に外に目を向ける様子がうかがえます(図 22)。

当社ではこれまでのインバウンド調査で具体的な行き先を決める際に、心理的にどんな場所を好む傾向にあるのかを国別に聞いてきました。今回の調査でも同様に聞いたところ、オーストラリア、インドネシアは「自分の国で話題になっている場所に行きたい」傾向がみられ、韓国は「海外で話題になっている場所に行きたい」。ちなみに日本は自国内より「海外で話題になっているものを買ったり食べたりしたい」という傾向があることが過去の調査から分かっています。

 

 

 

.最も利用されているシェアリングサービスは‘フリマ’。ミレニアル世代の経験率は 36.4%、ポストミレニアル 41.3%
  既に誰かに所属するモノやコトを活用する‘シェアリング’は新しい経済の形へと存在感を高める

スマホの普及で個々人の生活のデジタル化が進み、既に誰かが所有しているモノやコトを購入したり、借りたり、逆に自分の所有物を他者に提供するためのマッチングをしてくれる‘シェアリングサービス’が広がっています。既に‘フリマ(アプリやサイト)’や空き部屋レンタル(民泊)などは日本でも大きな市場を形成しつつあります。これらのサービスの経験率を聞いたところ、項目別では、‘フリマ’サービスが最も多く、全体で 27.9%、駐車場レンタルが 14.6%と続きました。これらのサービスは若い世代ほど利用率が高く、どのサービスもポストミレニアル世代(現 18~21 歳)が最も高い結果となりました。バブル世代からポストミレニアル世代までを通してみたところ、概ねどのサービスも‘ポスト団塊ジュニア世代(現37~41 歳)’と‘プレゆとり(現 29~36 歳)’との間には大きな差が見られ、この世代の間にシェアリングサービスの利用における心理的な‘壁’がありそうです。ミレニアル世代の他国との比較では、総じて日本の経験率がどのサービスにおいても最も低くなりました。一方、オーストラリアとインドネシアの利用率は日本、韓国に比べて大幅に高くなっています(図 24、25)。

 

 

.日本のミレニアル世代の普段の決済方法は「現金」と「クレジットカード」が中心で世代間の差異はない
  デビッドカード、仮想通貨は韓国、オーストラリア、インドネシアで利用が進むが、日本はまだわずかな利用

普段の買い物の決済方法は、日本全体では「現金(97.3%)」、「クレジットカード(83.3%)」、「電子マネー(61.0%)」の利用が一般的で、ミレニアル世代もその上の世代もあまり差異は見られませんでした。ポストミレニアル世代(現 18~21 歳)に関してはクレジットカードが低い結果(50.5%)となりました。学生が多くカードホルダーが少ないためと考えられます。「デビッドカード(15.0%)」や「決済代行(7.5%)」、「仮想通貨(3.0%)」の利用率は全体ではまだ低いのですが、ポストミレニアル世代で決済代行の割合がやや高いことから、今後決済代行や仮想通貨の普及が広がれば、この世代のクレジットカードの利用に大きく影響を与えそうです。また他国と比較してみると、デビッドカード、決済代行は韓国、オーストラリア、インドネシアのミレニアル世代では利用がかなり進む一方で、日本ではまだごくわずかな利用に留まっていることがわかりました(図 26、27)。

 

 

【消費や価値観における世代間の波及効果】

.バブル世代の親から大きな影響:「親の影響で何かを始めた・買った」が 47.6%と
  「自分の影響で親が何かを始めた・ 買った(28.2%)」を大きく上回る

最近では親子でファッション用品を共有したり、同じ趣味を楽しんだりといったことも珍しくありません。そこで、どの程度親子間で影響し合っているのかを調査しました。世代ごとに特徴をみてみると、‘団塊 Jr. 世代(現 42 歳~46 歳)’を境にから「影響は特にない」の回答割合が大きく減少し、「自分の影響で親が何かを始めた・買った」、「親の影響で自分が何かを始めた・買った」という親子間での影響度合いが高まること がわかりました。バブル崩壊とともに高度成長期が終わり、新しいことだけを追い求めるのではなく、「古き良き」ものにも価値を見出すようになったこと、親世代も健康で若々しさを求めるようになったことなどが背景にはあると考えられます。また同じ親子間の影響でも、「親からの影響」と「子供からの影響」とどちらが大きいのかをみると、バブル世代が親世代であるミレニアル世代、ポストミレニアル世代では「親の影響で何かを始めた・買った」が「自分の影響で親が何かを始めた・買った」を大きく上回りました。消費経験が豊富なバブル世代が子供世代に大きく影響を与えていることがわかります(図 28)。

 

  

10.日本のミレニアル世代は他の世代との交流に肯定的
  「上の世代から先人の知恵を学びたい(ミレニアル 54.4%、全体 45.3%)」、
  「上の世代と一緒に飲んだり趣味を楽しんだりしたい(ミレニアル 41.7%、全体 33.7%)」、
  「下の世代と一緒に飲んだり趣味を楽しんだりしたい(ミレニアル 36.9%、全体 31.9%)

では、ミレニアル世代は自分より上の世代や下の世代との交流を持つことについて、どのように考えてい るのでしょうか。ゆとり世代とも重なるミレニアル世代が社会に出始めたころから、新入社員とのかかわり に苦労する上世代の話題なども耳にするようになりましたが、ミレニアル世代自身は上の世代から意見をさ れたりすることをうるさく思うのでしょうか。調査結果をみると、意外にもミレニアル世代は、どの世代よ りも上下の世代との交流に肯定的であることが明らかとなりました。最も回答の多かった「上の世代から先 人の知恵を学びたい」は 54.4%と過半数を超え、全体よりも 9.1 ポイント高くなりました。また「下の世 代と一緒に飲んだり趣味を楽しんだりしたい」も 36.9%で、全体を 5 ポイント上回っています。聞く耳を 持っているミレニアル世代を敬遠しているのは、むしろ上の世代なのかもしれません(図 29)。

 

 

11.まとめ
少子高齢化社会・デジタル社会で、個々のターゲット別のマーケティングだけではなく、つながりと波及効果を意識したターゲティングを意識することがより重要に

第5章で明らかとなったように、韓国、インドネシア、オーストラリア、いずれのミレニアル世代もファッションやライフスタイルに関して、日本の情報を取り入れていました。日本はアジア太平洋地域の中でトレンドの発信地としての地位を築いていると言えるでしょう。中でも日本のミレニアル世代は価値観タイプでいうと「共感型(良いと思ったモノやコトを積極的に発信し、他者に波及するタイプ)」の割合が高いため、人口ボリュームは多くないものの、日本国内にとどまらず海外への波及力の大きさに期待ができそうです。インフルエンサーとして、マーケティング上でもこの世代に商品やサービス、旅行先の面白さを理解してもらう上でのキーパーソンとなる重要な位置づけと考えられます。

一方韓国は「高アンテナ(流行に敏感で自ら新しいものをとりにいくが波及力は共感型よりは劣る)」の割合が 25.2%と非常に高い傾向でした。韓国で流行り出したものを日本のミレニアル世代が参考にし、良いものであれば受け入れ、共感型の持つ発信力で、国内の他世代や海外のミレニアル世代に広げることに期待ができそうです。また逆に日本で生まれたトレンドが韓国内を経由して広く展開される可能性もあるわけです。
日本のミレニアル世代は親世代であり、様々な消費体験を重ねてきた先輩でもあるバブル世代の影響を色濃く受けています。国と国の情報やトレンドの関係性、世代間の関係性や志向などを考慮した戦略づくりは今後の商品やサービス、インバウンドマーケットを考えるにあたっても重要なのではないでしょうか。

 
日本のポストミレニアル世代の可能性の芽をつまず、彼らの価値観や行動にも着目

旅行や消費の期待とは裏腹に、何となく見えてくる日本人ミレニアルの世界観の狭さが本調査から読み取れました。海外には行きたいけれど語学や国内外の文化や歴史には関心が低く、上昇志向も低め、社会貢献の意識も日本全体で低いとはいえ、ミレニアル世代では特に低い傾向が明らかになりました。その一方、次世代のポストミレニアル世代は海外志向や社会貢献意識も高い傾向が見られました。ただしこの世代の幸せ度や自国へ将来の期待度はミレニアル世代より低い結果が出ており、現実的、合理的な側面も見られます。この傾向は世代の特徴なのかライフステージなのかまだ明白ではありませんが、国際情勢や第 4 次産業革命により、今後の日本および世界のポストミレニアル世代の意識や行動は、ミレニアル世代と違った特徴を持つ可能性があるかもしれません。今後の動きに注視していきたいと考えています。

 

 

 

<お問い合わせ>
(株)JTB総合研究所 調査・分析担当:早野、波潟 / 広報担当:早野・三ツ橋・波潟
03-6722-0759 www.tourism.jp
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