食と旅に関する調査

2017/03/27

株式会社ジェイティービー

株式会社ジェイティービー(東京都品川区、代表取締役社長:髙橋 広行)は、「食と旅に関する調査」を実施しました。
ライフスタイルが多様化する中、外食は昔に比べごく身近な行為になりました。ファストフードから高級料理店まで、和食から各国料理まで、外食の機会と選択肢は様々で、巷にはグルメ情報が溢れています。中でも旅先での食事は大きな楽しみの1つです。旅に関するアンケートでは「食」は常に旅の目的の上位にあげられます。SNS がきっかけで地元の料理が話題になり、急に数多くの人が訪れるということも珍しくなく、また観光政策に食をテーマとする地域も数多く見られます。
では、旅行者は旅先で食事をするとき、どんなものをどのように選んでいるのでしょうか。食にどんなことを望み、何に満足しているのでしょうか。一方地元に住んでいる人はどんな地元の食をお勧めしたいと考え、それが旅行者に理解されているのでしょうか。当社は旅行先における食の考え方について調査をしました。

 

【調査概要】
調査手法:インターネットアンケート調査調査期間:2017 年 3 月 9 日~3 月 13 日
調査対象者:下記地域に居住し、宿泊を伴う国内旅行に過去一年以内に一回以上行ったことのある20 代~70 代の男女 1,744 人
地域旅行をする側:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、大阪圏(大阪府、京都市、兵庫県、奈良県)名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)の在住者。
地域旅行者を受け入れる側:北海道、宮城県、新潟県、石川県、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、広島県、鹿児島県の居住者
*地域のうち、京都市、大阪市、名古屋市、横浜市在住者は旅行者を受け入れる側としても回答しています。地域は全国の県および政令指定都市のうち、料理や食材で有名な地域の中から 10 か所を選定しました。

 

【普段の生活と食】
1. 普段、興味や関心があることは、「旅行(72.8%)」、「食・グルメ(58.2%)」「健康(48.6%)」「旅行」、「健康」は年齢が上がるほど関心が高くなり、「食」は年齢が若いほど関心が高くなる
調査対象者に、普段どのようなことに興味や関心があるか聞いてみたところ、全体では、「旅行」、「食・グルメ」に興味や関心が高い結果でした。年代別にみると、「旅行」や「健康」は年齢が上がるほど関心が高くなる傾向がありました。逆に、「食・グルメ」は年齢が若いほど関心が高く、20 代では「旅行」を上回る結果となりました(図1)。

 

2.「豪華な食事」のイメージは、「老舗の料亭での食事(43.4%)」、「価格が高い(40.1%)」金額は、5,000 円から 1 万円未満が 37.6%と最多。旅行は、「豪華な食事」をする機会のひとつ
次に「豪華な食事」とはどのようなイメージなのか聞いてみました。イメージを 3 つまで回答してもらったところ、全体では「老舗の料亭での食事」をイメージする人が多く、次が「価格が高い」でした。年代別では、20 代は「価格が高い」、「有名なシェフの店の料理」、「ドレスコードがある」というような、わかりやすい外からの評価基準で「豪華な食事」をイメージするようです。60 代、70 代は、価格の高さに豪華なイメージを持つ人は他の世代より少ない傾向となる一方で、「器やカトラリーなどにもこだわりがある」や「お店のインテリアや建物にもこだわりがある」など食事以外の演出からも豪華な食事をイメージすることが分かりました。
具体的な価格について聞いたところ、5,000 円から 1 万円未満が 37.6%と最も多く、1 万円以上は 32.5% でした。
豪華な食事をする頻度は、「1 年に 1 回未満」が、30.7%でした。「月に 1、2 回以上」は 4.9%と少数でしたが、20、30 代は他の世代より多くなりました。どのような時に豪華な食事をする機会は、「誕生日や記念日など(59.2%)」、「旅行の時(41.4%)」が上位となりました。旅行は、「豪華な食事」をする機会と考えている人も多いようです。(図2~図5)

 

【国内旅行と食】
3.国内旅行のテーマは、「温泉(64.4%)」、「食・グルメ(55.0%)」、「自然や動植物(28.1%)」20 代、30 代では「食・グルメ」が温泉より高い。年齢が高くなると「食」は旅のテーマになりにくい
次に「食」が旅行においてどのようなポジションにあるかをみてみます。まず、国内旅行に行くときにどんなことをテーマにするか聞いてみました。多い順に 3 つ選んでもらったところ、どの年代も「温泉(64.4%)」が最も多く、「食・グルメ(55.0%)」が続きました。年代別にみてみると、20 代、30 代では「温泉」より「食・グルメ」のほうが高くなっています。地域振興で食をテーマにする場合は、20 代、30 代に効果が期待できそうです(図6)。
旅行先での「宿泊施設」選びは、食事とどのような関係があるのでしょうか。町の中心部で泊まる場合と地方の観光地で泊まる場合に分けて、宿泊施設の決定に重視することを聞きました。結果はいずれも「価格」が一番でしたが、町の中心部の宿泊施設の方が、価格を重視する傾向があり(町の中心部 67.3%、地方の観光地 58.1%)、「駅に近い(37.4%)」、「食事の評判が良い(36.2%)」がこれに続きました。地方の観光地に立地する宿泊施設の場合は、「価格」に続き、「食事の評判がよい(48.5%)」、「観光場所に近い(44.7%)」が上位となりました。宿泊選びは、地方の観光地で食事の影響はより大きい一方で、価格は多少呑み込む気持ちが強いようです。一方、「飲食街に近い」は、町の中心部と地方の観光地ではあまり差がない結果となりました(図7-1~2)。

 

4.旅行先での食事は「行き当たりばったり(52.1%)」「出発前にエリアだけ決める(45.5%)」若い世代ほど、「エリアだけ決める」「どの日に何を食べるか決める」など事前に調べる、決める傾向が多い
食事の情報収集は、「グルメサイト(53.4%)」、「ガイドブック(45.3%)」、「宿泊先にある案内やちらし(39.4%)」
宿泊施設以外での食事はどのように決めているのでしょうか。全体では、「行き当たりばったり(52.1%)」、「出発前に食事をしたいエリアだけ決める(45.5%)」が上位でしたが、年代別にみると、「エリアだけ決める」は若者に多く、「行き当たりばったり」は 60 代、70 代で多いことがわかりました。前述のとおり、年齢の上昇と共に食への関心の優先順位が下がることに加え、その日の体調によって食事内容を決めたいこともあるのではないでしょうか(図8)。食事を決めるときの自分の立場については、全体では「提案するのみ」が 45.2%と最も多かったものの、若い世代では「提案し店を調べて予約」、「同行者の意見をまとめて予約」も同様に多く、一方 70 代は男女とも「すべて同行者にお任せ」が多く、食に関しては若者がアクティブであることがわかります(図9)。
食事を決めるときの情報源については、全体では「グルメサイト(53.4%)」、「旅行ガイドブック(45.3%)」、「宿泊先にある案内やチラシ(39.4%)」が上位でした。  年代別ではグルメサイトは若者に多く、ガイドブックや宿泊先にある案内やチラシ、地元誌やフリーペーパーなど紙媒体は上の年齢層がよく利用することが分かりました。地元の人が地元で発信する食の情報は、グルメサイトでの検索より便利で分かりやすく、行く気になってしまう人も多いのかもしれません(図 10)。「行き当たりばったり」や「現地についてから予約」が多い年上の年代の旅行者に対しては旅先でのおすすめが分かりやすい情報提供が、「エリアだけ決める」「どの日に何を食べるかすべて決めていく」が多い若い旅行者には出発前の情報提供が有効だと言えるでしょう。

 

5.旅先でこだわりを持って食べるものは、「地元グルメなど名物料理(60.0%)」、「訪問する土地の郷土料理(54.5%)」。若い人もB級グルメよりは「日常では食べない豪華な料理(全体 35.0%)」にこだわる 20 代、30 代女性は「ソフトクリームなど食べ歩きできるもの」にもこだわりが高い
次に旅先で実際に食べるものについて聞きました。「こだわりを持って食べているもの」を聞いたところ、「料理」については、「地元グルメなど名物料理(60.0%)」、「訪問する土地の郷土料理(54.5%)」、「日常では食べられない料理  (35.0%)」が上位でした。年代別では、若くなるほど「自分が日常では食べない豪華な料理」へのこだわりが高くなる 傾向がみられ、また B 級グルメよりこだわる傾向が見られました。また20 代、30 代女性は「ソフトクリームなど食べ歩きできるもの」も多い結果となりました。
食材や調理方法については、「地元の食材を使った料理(41.7%)」、「季節限定の旬の食材を使った料理(39.5%)」が多くなり、「場所」については、年齢が高くなると、「地元の人に人気の店や老舗に行く」ことや、「その土地にしかないレストランでの料理」、「観光客や団体向けでないところ」にもこだわりが見られました(図 11)。

 

6.宿泊地で夕食をとる際の希望は、町中に宿泊の場合は「宿泊施設周辺の有名な飲食街に出かけたい(27.9%)」、「決まった時間ではなく自分の好きな時間に食べたい(25.5%)」
地方の観光地では「宿泊する部屋で食事したい(34.7%)」、「個室の食事処で食事したい(29.9%)」
次に宿泊地で夕食をとる際、食事の内容以外についてどう思っているか聞きました。町の中心部の場合は、「宿泊施設周辺の有名な飲食街に出かけたい(27.9%)」、「決まった時間ではなく自分の好きな時間に食べたい(25.5%)」「個室の食事処で食事したい(24.1%)」が上位となりました。地方の観光地では、宿泊施設で食事をすることを前提としている様子が見られ、「宿泊する部屋で食事したい(34.7%)」、「個室の食事処で食事したい(29.9%)」、「浴衣で食事できるのが良い(27.7%)」が上位でした。「宿泊する部屋で食事したい」は、 30 代 40 代でも多く、また 30 代は「乳幼児や子供向けの設備が整っているとよい」が高く、子育て世代独特の希望が見られ、また年齢が上がると「座敷に座るより椅子・テーブルで食事」を望むこともわかりました(図12-1~2)。

 

【旅行者の満足度と居住者が考えている旅行者の満足度の違いとは】
7.旅行者の満足度と地元の人が旅行者が満足していると思うものには差がある
B級グルメは、居住者が思うほど旅行者は満足していない 地域で有名でも旅行者は満足していないことも
今回、比較的食やグルメが話題になる 10 の地域(北海道、宮城県、新潟県、石川県、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、広島県、鹿児島県)への旅行経験者(帰省・業務出張含む)について、「トータルの満足度」、「地域の料理・食材」、「宿泊施設」など9つの項目について満足度を聞くと同時に、その地域の居住者にも‘旅行者が満足している’と思っているかを同じ内容で聞いてみました(図13 旅行者が地域で満足したもの、居住者が旅行者は満足していると思うもの)。この考え方は当社独自のマーケティングメソッド「JTB 地域パワーインデックス」に基づいたものです。JTB 地域パワーインデックスとは、観光地の強みや弱みについて改善点を明確にするために、対象地域の認知度、関心、イメージ、満足度などを分析した調査で、全国約 250 の観光地と県庁所在地を網羅しています。また今回の調査では JTB パワーインデックスにはなかった、各地域の「食」の内容について、旅行者の満足度を聞くと同時に、居住者にも旅行者が満足していると思う内容を聞いてみました。
観光地の項目ごとの満足度は、全体的な傾向として、横浜市、名古屋市、大阪市などの大都市で旅行者より居住者の満足度が高く、他の地域はほぼ同じか旅行者の満足度が高い傾向が見られました。居住者の方が高い場合は、居住者が思うほど旅行者はその項目に満足していない、あるいは良さが理解されていない、情報が伝わっていないと考えることもできます。旅行者の満足度が居住者より高い場合は、地域側がその項目に対して地域の魅力として認識しているか、共有できているか再考する余地があるととらえることができます。「地域の食や食材」の項目については、北海道、宮城県、新潟県、広島県、鹿児島県で旅行者の満足度の方が高い結果でした。ところが、食の具体的な内容の満足度を聞いたところ、すべての地域のほとんどの内容で、居住者の考える満足度の方が旅行者より高い結果となりました(図 13~図 22)。B 級グルメは、名古屋、大阪では旅行者の満足度は高い結果となりましたが、他の地域では居住者が考えるほど満足はしていない結果となりました。
例えば北海道の場合、観光全般の 9 項目すべてで旅行者の満足度の方が高くなりましたが、食の具体的な内容の満足度では「ラーメン・そば・うどん」や「B 級グルメ」は、居住者が思っているほど旅行者は満足しておらず、「地方食材を用いたレストラン料理」で旅行者の満足度の方が高い結果となりました。旅行者を年代別にみてみると、地域の自然や地域の温泉は年代が上がるほど高くなりましたが、地元の人とのふれあいは、20 代で満足度が高くなりました。「食」に関しては、30 代の旅行者の「パン・スイーツ」の満足度が高くなっており、北海道は 10 年ほど前から札幌を中心に地域の魅力としてスイーツに力を入れていますがその効果が若い世代に表れていると言えるでしょう(図 13-1~3)。

 

【地域における食に関わる体験】
8.食に関わる体験や交流でやってみたいのは、「果物狩りや野菜の収穫(22.5%)」「漁師や農家の人と一緒に食事をつくる(20.5%)」は 20 代、30 代、60 代、70 代に人気が高い
旅先での食に関わる体験や交流について「これからやってみたいこと」を聞いてみたところ、約4割がないという回答でしたが、やってみたいことの中では、「果物狩りや野菜の収穫(22.5%)」、「地方の郷土料理作り・そばうち体験(22.4%)」、「漁師・農家の人と料理をして食べる(20.5%)」が多くなりました。  性・年代別にみると、特に 20 代で「地方の郷土料理作り・そばうち体験」の希望が高くなっています。また、「漁師や農家の人と一緒に食事をつくる(20.5%)」は 20 代、30 代、60 代、70 代に人気が高く、地域間の交流だけではなく、世代間交流として活用することも期待できるかもしれません(図 14)。

 

9.まとめ
本調査を通して、「食」に関してアクティブに動くのは若者であることがわかりました。観光振興に食をテーマとする地域も多くありますが、食に関心を持ちやすい若者の嗜好、行動や気持ちを理解することも必要ではないでしょうか。また若者は旅行をしないと言われますが、「食」という目的をつくることで、日本の各地域を旅するきっかけをつくり、感心や思いれのある地域をつくってもらえるのではないでしょうか。一方、上の世代に対しては、食事をする際の演出、つまりインテリアやカトラリー、地元ならでは食材へのこだわりといったストーリーづくりと同時に、検索や予約など面倒なことを排除する工夫や配慮も必要かもしれません。食をテーマとした地域づくりにおける課題の一つに、地域ならではの食・食文化の魅力を他の地域資源と共にストーリー性ある体験 としてコーディネートしプロデュースできる人材の必要性が挙げられます。JTB は、日本野菜ソムリエ協会と共同で、昨年 11 月に「フードツーリズムマイスター養成講座」を開講しました。フードツーリズムマイスターとは、 食をテーマに地域と旅行者を繋ぐことができるプロデューサーです。本講座は、これまでに東京で 8 回開催され、のべ約 200 人が受講しており、今後地域でも開催していきます。

<報道関係の方からのお問い合わせ先>
JTB 広報室 03-5796-5833

<調査・分析担当>
JTB 総合研究所 企画調査部 03-6722-0759
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