台湾からの旅行者の心理と行動に関する調査研究(2)

2017/03/14

株式会社JTB総合研究所

4.2015 年と 2016 年の比較で台湾からの旅行者の増加率の高かった場所は初訪日の旅行者では名古屋市、日光市、宇治市、2 回以上では、常滑市、湯沢町、吹田市、岡山市、盛岡市

NAVITIME for Japan Travel の GPS データ分析で 2015 年と 2016 年の台湾からの旅行者数を比較して、増加率が大きかった場所を、初訪日者と訪日回数 2 回以上のリピーターで分けてみると、初訪日の旅行者では名古屋市、日光市、宇治市、白川村、金沢市がトップ 5 となりました。また大阪、奈良、京都は分母が大きいため、増加率自体はそれほど高くありませんが、増加人数自体は大きくなりました。全体的に台湾からの旅行者数は伸長していますが、初めての訪日旅行者からは、世界遺産など有名な観光地が人気だと言えます。

訪日 2 回以上の旅行者が増えていた地域は、常滑市、湯沢町、吹田市、岡山市、盛岡市がトップ 5 で、リピーターは広く各地方を訪問していることが分かります。常滑市には中部国際空港が位置していますが、2016 年にはタイガーエア台湾などの LCC が就航したことから利便性が上がり、周辺地域の旅行者が増加したこと、また、リピーター層は LCC も積極的に活用していると考えられます(表 2)。

 

 

5.地方に商機。普段の海外旅行は大都市志向が 64.1%。日本旅行では「田舎を訪れるのが好き」55.8% レンタカーは 31.0%が利用経験あり

都市派か田舎派か、「好きな旅行タイプ」についてのアンケート結果をみると、海外旅行全般では「どちらかというと大都市を訪れる方が好き(全体:64.1%)」が多いものの、日本を訪れる際の好きな旅行タイプは、「どちらかというと田舎を訪れる方が好き」が 55.8%となりました。海外旅行全般で「大都市を訪れる方が好き」と答えた人でも、約半数の 50.1%が日本旅行に行くときは「田舎を訪れる方が好き」と回答しています。

また、訪日旅行での「行動タイプ」を聞いた結果では、「どちらかというと、まだ行っていない新しい場所を探していくタイプ」が 67.3%となりました。GPS データとアンケートの結果を考え合わせてみると、日本旅行の魅力は田舎にあると考えている台湾からの旅行者は多く、訪日経験回数を重ねるにつれ、新しい場所を積極的に開拓していくことが見てとれます(図 7、8)。

 

ところで気になるのは、地方を旅行する際の交通手段です。地方での移動に際し、自動車は便利な足の一つです。レンタカーの利用について聞いたところ、全体の 31.0%が「利用経験あり」と回答しました。レンタカーを利用する理由のトップは、「公共交通機関では行きにくい場所に行きたかった(79.8%)」で、旅行経験が豊富なほど、さらにその割合は高まります。地方部への旅行の課題は域内の移動手段です。旅行者の地方部を旅行したいという希望を実現しやすくするためにも、よりきめ細やかな交通手段への配慮とより自動車旅行をしやすい環境整備が必要です(図 9、10)。

 

 

 

 

【日本への旅行で何をしたいか】

6.日本でしたいこと:「桜を見たい(54.1%)」「懐石料理など高級な和食を楽しみたい(54.1%)」

台湾からの旅行者は日本でどのような体験をしたいと考えているのでしょうか。全体で最も回答が多かったのは「桜を見たい(54.1%)」「懐石料理など高級な和食を楽しみたい(54.1%)」でした。和食と桜は日本の代名詞として、根強い人気があるようです。

年代別では、年齢が高いほど増える傾向にある項目は見られず、若いほど、やってみたいことの選択率が全体的に高くなりました。若い旅行者は「高級な懐石料理を楽しみたい」と考えている一方で、たこ焼きやラーメンなどの B 級グルメや、「日本式の旅館での宿泊」などの日本の文化への興味も強い傾向が見られます。日本人との交流についても、「日本の日常生活に触れたい」「お店の人と雑談してみたい」「日本の地域の活動に参加するなど積極的に交流を持ちたい」など若い世代ほど高く、多様な体験を望む 20 代の動きにも注目できそうです。訪日経験別にみると、訪日経験回数が多い旅行者ほど回答率が高くなる項目は、「紅葉狩り」「大自然」などの自然鑑賞や「観光列車」「ローカル電車」「新幹線」など列車の旅でした(表 3、図 11)。

 

 

 

好きな旅行タイプ別に日本でしたいことの違いを見てみると、「どちらかというと大都市を訪れる」人は、食やショッピング、テーマパークなど、サービスとして提供されているものを楽しみたいと考えているのに対し、「どちらかというと田舎を訪れる」人は、大自然や里山、世界遺産やお祭りを楽しみたいと考えているようです。面白いのは、「桜」が自然ではなく食やショッピングなどと同様に大都市を訪れる人に人気があることでした。

「桜」は自然を感じるというよりは、むしろ食事やお酒を楽しんだり、家族や友人との歓談を楽しんだり、日本人と同じように「花見」という季節のイベントを体験したいという気持ちが強いのかもしれません(図 12)。

 

 

7.地方への旅行でもショッピングは重要事項。訪日経験回数が増えてもアウトレットへの訪問率は変わらず「商店街や温泉街が夜遅くまでやっていてほしい(56.1%)」

前述では、ショッピングを楽しみたいと回答した人は 44.6%ありましたが、田舎派でも約 4 割おり、また、訪日回数が増えるほど、買い物への意向が増える傾向がありました。GPS データから意外な場所に台湾からの旅行者の滞在が多く見られる場合にも、そこにはアウトレットが存在しているケースが散見されていました。

そこで、訪日経験回数別にアウトレットへの訪問率を見てみたところ、訪日経験回数が 4 回以下の人でも、5 回以上の人でも、訪問率は約 12%(訪日経験回数が増えると微増)でした。訪日経験回数が多い人でも、変わらずにアウトレットには立ち寄っているようです(表 4)。

 

 

台湾からの旅行者の訪問率が最も高かった軽井沢のアウトレット周辺の時間帯別の動きを図示した結果、夜の時間帯でも台湾からの旅行者がアウトレット周辺で活動をしていることがわかりました。

アンケートで、地方を訪れた際、特に夜の時間帯について、あったらよかったのに、と思ったことを聞いた結果では、「商店街や温泉街などが夜遅くまでやっているとよかった」が 56.1%で最も高く、次いで「アウトレットや大型ショッピングセンターが夜遅くまでやっているとよかった」の 55.8%が続きました。

6章では、田舎志向の旅行者も 4 割がショッピングを楽しみたいと回答しています。アウトレットやショッピングモールは観光が終わった後の楽しみとして、重要なのではないでしょうか(図 13、14)。

 

 

 

【東北地方における台湾からの旅行者の動き】

8.訪日回数が増えると、有名観光地を点に周辺の温泉地などへ足を伸ばす傾向

2章から、地方を旅行する旅行者には訪日経験が豊富な旅行者の割合が高いことがわかりました。そこで訪問都市の組み合わせ分析から直近の訪問先として人気が上昇していた東北を事例に、観光素材の認知度や訪問意向滞在箇所を訪日経験回数別に見てみます。

訪日経験別に GPS データを分析し、具体的にこに訪れているかをみてみると、訪日経験回数が 4 回以下の旅行者は東北内の主要な都市と、田沢湖、平泉、松島、蔵王、会津若松などの有名な観光地を訪れていますが、5 回以上になると、主要な都市や観光地周辺の温泉地、例えば、田沢湖から乳頭温泉、白神から深浦・不老不死温泉、青森から浅虫温泉や酸ヶ湯温泉、八戸から古牧温泉などへと足を伸ばしている様子がわかります(図 15)。

 

 

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